岸田 繁(作曲)& 広上淳一(指揮)

第一番から2年、遂に交響曲第二番が完成!

左:広上淳一 右:岸田 繁
Photo:H.Teranishi

 人気ロックバンド「くるり」でヴォーカルやギターを担当する岸田繁が、作曲家として取り組んだ「交響曲第二番」を完成し、広上淳一指揮の京都市交響楽団により3都市で初演される。クラシックとロック、双方の世界に衝撃を与えた前作「第一番」から2年。岸田独特の感性とオーケストラ・サウンドが再び“化学反応”し、新たな響きへの扉を開く。
 「少し変な符牒ですが、『より第2番らしく』したかった。次は何をやるか、最初の第一歩より重要だと思う」と岸田。
「最初は、森羅万象やアニミズムなどから発想しようとしましたが、頭がもやもやし、やめました(笑)。でも、広上先生と色んな話をして、肩の力が抜け、僕が今、感じる気持ちに向き合い、結果的にとてもパーソナルな作品に。『第一番』よりも、今できる、よりソリッドな表現ができたのではないか、と自負しています」
 一方広上は「交響曲第1番を、40歳過ぎで書いたブラームス。でも、間を置かず作曲した第2番は優しい音楽で、全く作風が異なる。まさに岸田さんの『第二番』も、生みの苦しみで自分と向き合った『第一番』の蓄積の半面、力が抜けてより洗練された音楽になっています。異なる趣きと豊かな色彩に驚かされました。心を込めてご紹介したい」と評する。
 「交響曲第一番」は、岸田の持ち味の旋律美に大胆なリズム遣い、様々な様式を融合した和声、本格的な管弦楽法で、「くるり」のファンのみならず、コアなクラシック愛好家すら驚嘆させた。岸田は「無垢な子どものように生み出した作品が、広上先生と京響の皆さんの魂と愛情により、ひとつの大きな絵として描き出された。凄い、の一言でした」と振り返る。
 第一番の作曲中には、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」をよく聴いたという岸田。
「“オケコン”は今も大好きですが、今度はバルトーク色(笑)を抑えようと…。今回は、ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》の『前奏曲と愛の死』をよく聴きました。突然の不思議な和音が、どこで解決するのか。自分の考えとリンクし、愉しめました」
 「最初は、人気スターが、どう作曲するのかと半信半疑だった」と広上。「でも、実際に会うと、やはり共通で語る言葉は『音楽』だと確信した。多忙な活動の合間に、自分と対峙する時間を作る…血の滲むような努力もあったはず。貫徹したい強い欲求と、実行に移せる行動力が羨ましい。そして、表現する我々の責任は、楽曲が伝えたいことを、余さず掬い取ること」と語る。
 そして、「音楽に垣根はない。京響は、そんな考えが浸透した楽団に育ってきた。そして、岸田さんとのプロジェクトは、大事な教科書の1ページ」と広上。「オーケストラがバイキングなら、バンドは焼鳥屋。違いはあれど、貴賤はない。一番願っているのは、聴いた後に誰もが『音楽って、いいなあ!』と思いつつ、帰ってくださること」と力を込める。
 さて、「くるり」の世界観を思えば、もし「第三番」があるとして、期待されるのは、言葉との関係性だろう。「『くるり』の歌と京響で、合奏協奏曲はどう?」と広上。岸田が「実は、ベートーヴェン『第九』が大好き。詩と音楽による世界観によって、『赦す』『赦さない』が解けた時にしか、見えない部分が明らかになる…あんな傑作は、とても作れませんが…」と語ると、広上が「そりゃ、分からないよ!」。すかさず、笑顔で返した。
取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年11月号より)

京響プレミアム 岸田 繁 交響曲第二番 初演
2018.12/2(日)16:00 京都コンサートホール
問:YUMEBANCHI 06-6341-3525
2018.12/4(火)19:00 愛知県芸術劇場コンサートホール
問:クラシック名古屋052-678-5310
2019.3/30(土)18:00 東京オペラシティ コンサートホール
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