音やリズム、グルーヴ感は、そこにある。なのに、なぜか感じる静けさ。その手触りは、実に心地よい。八巻志帆は仙台出身、相愛大に日本で初めて設置された「バスクラリネット専攻」の一期生として学び、ジャンルに拘らず、多様な側面から “バスクラ”のソロ楽器としての可能性を追究し続ける。クラシカルなアルバム2枚に続き、彼女が向かった先は、ピアノとドラムを伴うジャズの世界。まず、温かい音色と豊かな表現力には、「こんな楽器だったとは」と驚くはず。それぞれが異なる色合いを湛えた、八巻の自作12曲。聴く者の心は柔らかにほぐされ、やがて、平安に満たされてゆく。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年10月号より)
【information】
CD『HAZAMA Sway in Silence/八巻志帆』
八巻志帆:flutter、Dolphins、Quelle、断片、inwardly、“Waltz” einer kleinen Katze、Calendula、overflow、mélancolie manège、REW.、Sway in the air、and humid…
八巻志帆(バスクラリネット) 林正樹(ピアノ) 萬恭隆(ベース) 則武諒(ドラム)
コジマ録音
ALCD-3114 ¥2800+税