吹奏楽のオリジナル曲の演奏にこだわりたい
ジャパン・ウィンド・プレイヤーズは、「正統派吹奏楽を追求する」という高い理想を掲げて2014年4月に活動を開始した新興のプロ吹奏楽団。年2回の定期公演と並んで、創設当初からCD録音を活動の軸のひとつにしているのは、実に恵まれた環境と言えるだろう。
8月下旬には早くも3枚目となるアルバム『吹奏楽のための交響曲』をリリースする。収録曲は保科洋「風紋」、クリフトン・ウィリアムズ「ファンファーレとアレグロ」、ヴォーン・ウィリアムズ「イギリス民謡組曲」、ミヨー「フランス組曲」、ヒンデミット「吹奏楽のための交響曲」。いずれも吹奏楽のためのオリジナル作品だ。楽団長でクラリネット奏者の裏地慎は言う。
「吹奏楽のオリジナル作品に光を当てて発信することで、吹奏楽をもっとなじみのあるものにしていきたいというのが活動の基本的なコンセプトです」
現在は常任指揮者は不在で、今回の録音には秋山和慶の愛弟子の若手・長縄洋明が招かれた。その長縄は「アグレッシヴな楽団」と共演の感触を語る。
「20代の若い奏者が中心なので、いい意味で怖いもの知らず。ちょっとでも腑に落ちないところがあれば、ここはどうなのかとグイグイ言ってくるのでとても楽しかったですね」
長縄自身も中高生の頃は吹奏楽部でオーボエを吹いていたそうだが、それ以来久しぶりに吹奏楽と向き合った。
長縄「音楽史上に残る管弦楽の名曲に比べると、新しい作品が多いこともあって、演奏側が自由に解釈できるのが新鮮。オーセンティックな解釈に縛られずに表現できるのが良いですね」
タイトル曲のヒンデミット作品には驚かされたと語る。
長縄「これはすごい曲だと思いました。音楽的密度が非常に高い。ぜひ注目して聴いていただきたい作品です。吹奏楽は学校などで一番身近に接する機会のあるクラシック音楽でもあると思うので、今後もオリジナル作品の中から、聴き手に楽しんでもらえる作品を見つけていきたいですね」
現在は15人ほどの固定メンバーを軸に、エキストラを加えて活動を続ける。新しい楽団の運営は決して楽ではないだろう。
裏地「バタバタしているうちにもう活動5年目。あと5年ぐらいで軌道に乗ればと考えています。もちろん、すぐに団員全員が生計を立てられるほど簡単ではないと思いますが、それに近い形にしたいですね」
12月にはCD発売記念演奏会も予定されている。若い楽団の充実した活動を見守りたい。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年9月号より)
CD発売記念演奏会
2018.12/6(木)18:30 麻生市民館
問:e-mail:office.jwp@gmail.com
CD『吹奏楽のための交響曲』
マイスター・ミュージック
MM-4039 ¥3000+税
2018.8/25(土)発売