第30回「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催:公益財団法人日本美術協会)の受賞者が7月10日の記者会見で発表された。音楽部門では、指揮者のリッカルド・ムーティ(イタリア)が選ばれた。
ムーティは、1941年ナポリ生まれ。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院などで学び、67年にグィード・カンテッリ国際指揮者コンクールで優勝。その後は、フィレンツェ五月音楽祭の首席指揮者、フィルハーモニア管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督などを歴任。また、86年から2005年までミラノ・スカラ座の音楽監督を務めた。10年にシカゴ交響楽団の音楽監督に就任した。今年1月には、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで5度目の登壇を果たした。
また、若手指揮者の育成にも尽力し、イタリアのラヴェンナで15年から「イタリア・オペラ・アカデミー」を開催。19年春からは、「東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森ー」の一環として、3年にわたって東京でも同アカデミーを実施することが発表されている。また、直前の同年1月にはシカゴ響を率いての来日が予定されている。
音楽部門選考委員を務めた指揮者の井上道義は、「ムーティは、アーティストであることと監督であることを両立させている稀有な人。ピアノも本格的に弾く。スカラ座の監督時代、オーケストラがストライキをしたとき、彼は自分でピアノを弾いてオペラをやっちゃった! こういう勇気がある人はなかなかいない。逃げないで闘う姿勢、きっぷの良さは素晴らしい」と偉大なマエストロを称えた。
そのほかの部門の受賞者は次の通り。
第30回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
◎絵画部門:ピエール・アレシンスキー(ベルギー/フランス)
◎彫刻部門:中谷芙二子(日本)
◎建築部門:クリスチャン・ド・ポルザンパルク(フランス)
◎演劇・映像部門:カトリーヌ・ドヌーヴ(フランス)
また、同時に発表される第22回 若手芸術家奨励制度の対象団体には、イギリスの文化教育団体「シェイクスピア・スクールズ財団」が選ばれた。
「高松宮殿下記念世界文化賞」は、日本美術協会の創立100周年を記念し1988年に設立、前総裁高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」との遺志にもとづき、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される。
授賞式は、同協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下出席のもと、10月23日に東京・元赤坂の明治記念館で行われる。5部門の受賞者には、それぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。
高松宮殿下記念世界文化賞
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