山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

呼応しあうフランス作品と三善ワールド


 日本フィルハーモニー交響楽団第703回東京定期演奏会は、2012年秋から正指揮者を務める山田和樹が登場して、フランス近現代作品と日本人作曲家を組み合わせたプログラムを披露する。管楽器が活躍する、プーランクの軽快な「シンフォニエッタ」、デュカス「魔法使いの弟子」は珍しいストコフスキー版で。アンリ・デュティユーと三善晃の作品も聴き逃せない。
 三善(1933〜2013)は、東京大学文学部仏文科在学中にフランス政府給費学生としてパリ国立高等音楽院に留学。「ピアノ協奏曲」は、帰国後の1962年に作曲された。多彩な打楽器を含む単一楽章の作品で、攻撃的な力強さと神秘的な中間部との対比が鮮やかだ。ピアノ独奏は、2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝の萩原麻未。パリで学んだ、感受性豊かな萩原が、三善の鋭敏な音楽をどのように表現するのか楽しみだ。
 デュティユー(1916〜2013)の交響曲第2番「ル・ドゥーブル(分身)」(1957〜59)は、大小二つの管弦楽群のための作品。小管弦楽が指揮者の前で、それを大管弦楽が取り囲む楽器配置。この二つは、重なり絡み合い一体化し、音色の対比、ポリリズム、多調など多様な響きが追求される。両者は互いに干渉し合い、音楽は劇的な高まりを含みながら繊細で微妙なテクスチュアの変化で形作られる。近年、在京オケの定期公演で続けて取り上げられている同曲。好調の日本フィルと若きマエストロとの挑戦に注目したい。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2018年8月号より)

第703回東京定期演奏会
2018.9/7(金)19:00、9/8(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
http://www.japanphil.or.jp/