声の雄弁さはもちろんのこと緻密な役づくりにも定評があり、日本オペラ会を牽引するテノール、村上敏明のデビュー20周年記念アルバムが登場。もちろん彼がこよなく愛するイタリア尽くしの内容。スカルラッティによる古典歌曲からオペラ・アリア、クロスオーヴァーものまで、いくつかの曲をピアノだけでなくヴァイオリンを加えたアレンジで魅せる。一方でナポリ民謡などカンツォーネ系はマンドリンを加えて陽気に。後半はヴェルディのヒロイックな“ハイC”アリアからヴェリズモ、プッチーニとドラマティックに展開。ロマンスとパッション溢れる一枚だ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2018年7月号より)
【information】
SACD『ヴィヴァ・イタリア!/村上敏明』
スカルラッティ:陽はすでにガンジス川から/コットラウ:サンタ・ルチア/サルトーリ:君と旅立とう(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)/ヴェルディ:女心の歌、清きアイーダ/プッチーニ:星は光りぬ、誰も寝てはならぬ 他
村上敏明(テノール) 栗原正和(ピアノ) 古館由佳子(ヴァイオリン) 田中早苗(マンドリン)
アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)
MECO-1047 ¥3000+税
2018.6/20(水)発売