フランクフルト放送響は最高の技術と情熱を持っています
アンドレス・オロスコ=エストラーダが、音楽監督を務めるフランクフルト放送交響楽団を率い、6月に日本ツアーを行う。彼は、2021/22シーズンからのウィーン交響楽団音楽監督就任も発表されており、欧州でその評価が急上昇中の話題のマエストロだ。
今回のツアーにはドヴォルザークの第9番「新世界より」とマーラーの第5番という、2つの名交響曲を中心にプログラムが組まれている。
「『新世界より』は非常に美しい曲だと思います。とても親しみやすい旋律に溢れていて、誰もがどこかで耳にしたことがあるような、懐かしさを感じることができます。また、ドヴォルザークの音楽は中央ヨーロッパと密接な関係があると感じます。彼がブラームスと頻繁に接触していたからなのですが、ドヴォルザークの作品中に、ある意味、彼独自の音楽で表現したブラームスの深い響きが感じられるのです」
では、マーラーの第5番についてはどうだろうか。
「マーラーの第5番は、『新世界より』とは非常に対照的な作品です。とはいえ、マーラー自身もボヘミア地方出身であるという点については、偶然にもドヴォルザークと関連があります。特に興味深いのは最終楽章で、とても古典的に聞こえる曲中に知的なユーモアが満載されているのです。この楽団はマーラー演奏で非常に長い伝統を持っていますので、私たちはこの作品を日本で演奏できることを大変嬉しく思っています」
フランクフルト放送響の特徴を説明する際、2つの大切な要素があるという。
「まず第一に、情熱です。団員たちは、どの演奏会でも大変な熱意を持って、精魂を込めて演奏します。そして技術面についても常に最高のレベルを目指しています。聴き手は、完璧な技術に裏付けられた極上のサウンドと、音楽の世界に引き込む情熱を併せ持つ演奏を楽しむことができます。もう一つは、柔軟性。今回、皆さんがドヴォルザークの交響曲とマーラーの交響曲を聴き比べてくだされば、それぞれが、全く違うスタイルで演奏されていることが分かるはずです。楽団のサウンドからそれぞれの曲調の違いを容易に感じ取ることができるでしょう」
前回の同響とのツアーからは2年半ぶりとなる来日。
「日本の皆さんは、本当に熱心に耳を傾け、心から音楽を鑑賞してくれます。これはとても有り難いことです。そして、一番楽しみにしているのは、訪れた土地での人々との交流です」
川崎公演では「新世界より」の前に、新星ヴァイオリニストのダニエル・ロザコヴィッチと共演。メンデルスゾーンのコンチェルトを披露する。こちらも聴き逃せない。
取材協力:ジャパン・アーツ
構成・文:編集部
(ぶらあぼ2018年6月号より)
アンドレス・オロスコ=エストラーダ(指揮) フランクフルト放送交響楽団
ダニエル・ロザコヴィッチ(ヴァイオリン)
2018.6/9(土)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/
※公演によりプログラムとソリストは異なります。全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。