【CD】聖アポリナーレ教会のレクツィオ/山内房子

 埋もれたバロック作品を蘇演するなど、独創的な演奏活動を展開する山内房子が21年前、図書館のマイクロフィルムを通じ、偶然に知った作者不詳の聖週間の「レクツィオ」。かつて17世紀末〜18世紀前半頃にローマ・聖アポリナーレ教会で演奏され、今はロンドンに2種の写譜が現存。誰にも演奏されることなく、数百年間、眠り続けてきた。「いつか音に」と抱き続けた彼女の思いが、形となったのが当録音。山内の温かな歌声は、強い思い入れも伴って、忘れられていた佳品に、新たな生命を与える。オルガンの桒形亜樹子ら共演の器楽陣も端正な快演。彼女の熱情をしっかり受け止める。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年6月号より)

【information】
CD『聖アポリナーレ教会のレクツィオ/山内房子』

作者不詳:第一日 第一のレクツィオ、第二日 第一のレクツィオ、第三日 第一のレクツィオ、同第三のレクツィオ/ストラデッラ:「3声のシンフォニア」より/パスクィーニ:トッカータ ハ短調

山内房子(ソプラノ)
朝吹園子 吉田爽子(以上ヴァイオリン)
懸田貴嗣(チェロ)
桒形亜樹子(オルガン)

コジマ録音
ALCD-1173 ¥2800+税