ポッジャー待望の「四季」は自身のアンサンブルであるブレコン・バロックとの共演。この演奏、過激な同曲録音を聴き慣れた耳には一聴やや大人しいと思われるかも知れない。しかし、細部にわたって入念に構築されたアーティキュレーション、ソロと合奏部の音響バランスの妙、地味ながら素晴らしい音色的アクセントをもたらしているヴィオローネ、テオルボの魅惑的響きなど、繰り返し聴き込むにしたがってその味わいは徐々に増していくだろう。これに対し、カップリングの3曲はより直截にポッジャーの技巧の冴えを楽しめよう。中でも「ムガール大帝」。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2018年5月号より)
【Information】
SACD『ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」/ポッジャー&ブレコン・バロック』
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」、協奏曲ホ長調「安らぎ〜聖なるクリスマスのために」、同ホ長調「恋人」、同ニ長調「ムガール大帝」
レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン/指揮)
ブレコン・バロック
CHANNEL CLASSICS/東京エムプラス
RCCSSA40318 ¥3238+税