世界的チェリストと京響との共演が実現!
「私はドヴォルザークのチェロ協奏曲を若い頃から弾いてきました。もっとも多く演奏しているコンチェルトといっても過言ではありません。コンクールでも取り上げ、あまりにも個性の強い作品ゆえ、審査員に評価されないこともありました。でも、時が経つとまた弾いてしまう。この曲は私の一部ですから」
ラトビア出身の名チェリスト、ミッシャ・マイスキーは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲をこんな言葉で表現する。マイスキーの血となり肉となった自家薬籠中のコンチェルトが、京都市交響楽団と世界のトップアーティストとの共演が実現する「京響スーパーコンサート」で演奏されることになった。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲はこのジャンルの最高傑作のひとつに数えられ、ハイドン、シューマンとともに「3大チェロ協奏曲」と呼ばれることも多い。曲はソリストの技巧を誇示するものではなく、オーケストラとの自然な融合のなかでチェロの持ち味が存分に発揮できるように書かれ、古典形式に根を下ろした楽想から豊かな色彩が生み出されていく。
今回はオール・ドヴォルザーク・プログラムで、広上淳一と京響が演奏する交響曲第8番で幕開け。この曲はチャイコフスキーとの親交を深めていた時代に書かれ、ロシアで国外初演も行われた。郷土色満載で、民族舞踊的な主題が印象的である。ボヘミアの素朴で、自然に根差した美しい旋律は聴き手の心にゆったりと浸透してくる。その妙味を堪能したい。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2018年5月号より)
2018.9/5(水)19:00 京都コンサートホール
問 京都コンサートホールチケットカウンター075-711-3231
http://www.kyotoconcerthall.org/