BST(Biwako Super 4 Tenors)と呼んでください!
実力と「笑い」を兼ね備えたびわ湖ホールの超人気ユニット「びわ湖ホール四大テノール」(BST)が、3月、待望の東京単独公演を行なう。清水徹太郎、竹内直紀、二塚直紀、山本康寛。関西を代表する4人のれっきとしたオペラ歌手たちが名曲を熱唱するほか、楽曲をコント仕立てにしたり、あるいはコントそのものの中に歌を盛り込んだり。客席爆笑の公演の様子はテレビを通して関東にも伝えられていたが、いよいよその全貌がヴェールを脱ぐ。
BSTは2010年、当時「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のテノール在籍メンバーだった4人で結成した。
「『ラ・フォル・ジュルネびわ湖』の無料公演で依頼されたのがきっかけです。『笑いを』というオファーではなかったのですが、全員関西の大学出身ということもあって、替え歌だとか、最初から今の原型は、勝手に(笑)できあがっていましたね。1回だけのつもりでしたが、お客さんの反響がすごくて、終わった直後にはもう、1年後の出演が決まっていました」
現在はソロ歌手としても活躍中の4人。メンバーの中で一番若手の山本は、4月の藤原歌劇団公演のロッシーニ《ラ・チェネレントラ》で王子ドン・ラミーロ役に抜擢されている。
「オペラ歌手として、アリアや歌曲を高い水準で示したうえでの笑いです。真面目に歌い、真面目に笑わせる。これが大前提。だから実は僕らの売りは笑いではなく、アカデミックな音楽と笑いの“幅”なんです」
たとえばチラシの曲目にある〈大都会〉はクリスタルキングの1980年の大ヒット曲。印象的な“h”や“c”の高音を、もちろん原調で、クラシカルに輝くテノールの競演で聴かせてくれるから、それだけでも大興奮なのだけれど、そこにコントをかましてくるからたまらない。聴こえてくる声と、目に映るコント姿とのギャップに大ウケ必至。原曲を知らない世代のハートもがっちりと摑む貪欲な笑いを提供できるのは、やはり関西人のなせる技だろう。
「東京は大丈夫かなと、ちょっとドキドキしてます。関西は笑いに厳しい半面、『笑いたい』というDNAも強烈にあるので」
和声的には高域に密集したテノール4人だが、4声でハモるオリジナル・アレンジも豊富。また、レッジェーロの山本のほか、ドラマティコ、リリコ、リリコ・レッジェーロと、異なる声質のテノールが揃っているので、それぞれの歌うアリアも自ずと異なるキャラクターの選曲・表現になる「テノール百科」的な要素も。
「歌いやすい曲ではなく、各自の限界を出し切るような高水準のプログラムで東京に乗り込みます。笑いを東京のクールな目で見定めつつ、存分にお楽しみください」
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年2月号より)
びわ湖ホール四大テノール 東京公演
2018.3/11(日)14:00 東京文化会館(小)
問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136
http://www.biwako-hall.or.jp/