R. テューズリー 全文インタビュー

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C) Ryo Shirai

1)まだトップで踊れる実力がありながら、引退を決めたのはなぜでしょうか? 現在の心境をお聞かせください。

 

ダンサーは、遅かれ早かれいつステージを去るかを考えなくてはなりません。もちろん僕にとっても誰にとっても簡単な決断ではありません。僕は25年もの間、ステージとともに生きてきたことになります!肉体的にも演技面でもまだ一定のレベルを保てる自信はありますが、同時に切り替えの時期も来ていると感じました。ここ数年、古典の全幕物の出演は避けてきました。

体力への自信、身体の故障など、若い頃に比べて身体の維持は容易なことではありません。僕は、年齢や体力の衰えが理由ではない「引退」を決めたいと考えていました。
そう思えるのは、数え切れないほどのたくさんの演目を多くのバレリーナたちと踊らせてもらえたからです。たくさんの素晴らしい経験させてもらったからこそ、引退の決断についてはまったく後悔はしていません。

 
2)ステージを去ったあとの人生プランを教えて頂けないでしょうか?

僕はフリーランスのダンサーとして10年活動してこれたので、特定のバレエ団に所属するより今後の人生設計について考える時間がもてました。スイスのチューリッヒ大学で芸術運営管理について3年間研究をし、資格を得ました。これは大きなバレエ団の監督として通用する資格にもなりますし、また将来的に、英国ロイヤルの監督としての可能性にもつながるかもしれません。

世界的にみても、著名な優れたダンサーだからといってバレエ団の監督に適確な能力を持っているとは限りません。資金繰り、予算、契約内容や仕事環境など、すべての状況を把握しなくてはいけません。昨今の監督業は、スタジオ内での時間よりも、ダンサーの選定や演目の決定などにもっと時間を費やすことが必要になってきていると思います。それ以外にも、劇場がどのように活かされているかをちゃんと理解していなくてはなりませんし、政府の補助金を受けている劇場であれば、運営サイドからだけではなく、どのように市民の税金が使われているかも国民に説明する責任があります。英国ロイヤル・オペラハウスについては、これまでと比べて類をみないほどの非常に厳しい財政危機を抱えています。

また、僕はこの時期にイギリスの大学でも欧州に関する勉強の機会を得て、学士の資格を会得しました。ヨーロッパの統治、欧州言語や文化など、充実した5年間の研究期間でした。もしかしたら、芸術分野の欧州国会議員としても可能性がないとはいえません。どうなるかはお楽しみに!

またここ数年では、ダンスの指導者としても関わってきましたが、非常にやりがいがある経験でした。ダンサーのキャリアの中で、たくさんの素晴らしい作品を通して多くの講師やダンサーたちと関われたことは本当にラッキーだと思っていますので、その経験を次世代のダンサーに受け継ぎたいと考えるのは当然でしょうね。
舞台の仕事の合間には、フランスのカントリーサイドの家で過ごしたりしていました。そこでは鶏を飼ったり、広い庭のガーデニングに精を出しました(もちろんイギリス人としては当然でしょう!)。その土地で25年のダンサーとしての人生を振り返りながら、田舎でのシンプルな生活を楽しみつつ、今後の人生プランについてじっくり考えたいと思います。

 
3)「マノン」と「火の鳥」を選んだ理由を教えて頂けますか?

「マノン」は僕のダンス人生の中で、ずっと特別な作品のひとつでした。僕の最後のステージには、「マノン」のパ・ド・ドゥを踊りたいとずっと思っていました。
現在では振付家としても知られる、僕の非常に尊敬しているマルコの作品をずっと踊りたいと思っていました。マルコの事務所に最後のパフォーマンスについて話をしたときに、マルコの「火の鳥」のパ・ド・ドゥもどうかと薦められました。その映像を観たときに、これが最後に踊る作品だと確信したのです。パ・ド・ドゥのパートをこんなに情熱を持って観たのはいつだろうと感じたぐらいです。日本でこの作品をラストパフォーマンスとして踊れるのはとても幸せです!

 
4)本公演の酒井はなさんについて聞かせてください。ダンサーとしてはなさんの印象は?彼女に舞台で期待することは?

はなさんとの最初の出会いは新国立劇場の公演で「ロミジュリ」で来日したときでした。僕のダンス・パートナーの到着が公演直前になってしまうので、僕のリハーサルのパートナーとして練習してくれることをはなさんが了解してくれたんです。それからというもの、いつか一緒に踊りたいねとお互い話していたのですが、結局そのチャンスは訪れず、しかし昨年、アーキタンツさんとの縁のおかげで、この企画をいただいてやっと実現することになりました。
はなさんのステージはいつ観ても素晴らしいです。この「マノン」と「火の鳥」の対照的なパ・ド・ドゥは、はなさんの芸術性を表現するのにぴったりだと思います。やっとはなさんとの共演が実現することは本当に嬉しいです。日本での最後のパフォーマンスとなるステージで、はなさんとパ・ド・ドゥを踊れることを心から楽しみにしています。

 
★ARCHITANZ 2014 2月公演

2/11(火・祝)・12(水)19:15開演・新国立劇場 中劇場

「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ、
「火の鳥のパ・ド・ドゥ」
振付/マルコ・ゲッケ 出演/ロバート・テュ?ズリー 酒井はな
「HAGOROMO」
演出・出演/森山開次 出演/津村禮次郎 デワ・アリット(演奏)
「Opus 131」振付/アレッシオ・シルヴェストリン
出演/横関雄一郎 イ・ソン 金田あゆ子 富村京子井原恵 ウェザフォード美輝 加登美沙子 川村智由美 近藤美緒 坂口忍 佐久間由佳 柴田有紀 鈴木美波 高岡優貴 西村真由美 平尾久美子 フェランド三香子 丸澤芙由子

S席¥7,800 A席¥6,800
*2月公演、3月公演セット券有 S席¥11,000 A席¥9,500
(セット券は、アーキタンツのみのお取り扱い)
問:スタジオアーキタンツ03-5730-2732
http://www.a-tanz.com/dance/architanz2014.html