3つの協奏曲とユニークな演出が生み出す独奏的空間
1月20日、神奈川県立音楽堂でジャンルを横断した斬新なコンサート「ミュージック・クロスロード」が開催される。神奈川芸術文化財団の芸術総監督である作曲家の一柳慧とKAAT神奈川芸術劇場芸術監督で演出家の白井晃が強力なタッグを組む。
一柳がプロデュースをする演奏会を白井によるユニークな空間演出を含めて体験しようという試みだ。曲目は三世代の現代日本の作曲家の協奏曲で、一柳が未来を見据えて選出した期待の若手二人の作品と一柳の作品が取り上げられる。演奏は、杉山洋一指揮の神奈川フィル。
もっとも若い20代の新鋭、森円花の「音のアトリウムⅢ〜独奏チェロとオーケストラのための〜」は空間表現に趣向を凝らしており、進境著しい俊英の上野通明がソリストをつとめる。そして一柳自身の作品はピアノ協奏曲第6番「禅―Zen」。このコンチェルトでソリストは、図形楽譜で記されたソロパートの演奏順を自由に決めることができ、内部奏法を駆使するなど、前衛的な技法を披露する。ピアニストとしてもすぐれた手腕をもつ作曲家自身のソロにも期待が高まる。そして40代の山本和智の「散乱系」は、3人の奏者が箏6面を弾くという破天荒な作品。うち3面の箏には、絃に使う絹糸を結びつけて舞台から客席後方まで張り巡らせるという前代未聞の仕掛けがあり、ホール全体が独創的な響きに満たされる。
白井による空間構成にはスマートフォンを活用する意外なアイディアを思案中という。詳細は当日のお楽しみだが、まさに刺激的なコンサートになるだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2018年1月号より)
2018.1/20(土)14:00 神奈川県立音楽堂
問:チケットかながわ0570-015-415
http://www.kanagawa-ongakudo.com/