マルク・アンドレーエ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団 「第九」

初共演の新日本フィルと紡ぐ名匠の“歓喜の歌”

マルク・アンドレーエ

 各オーケストラが開催する年末の「第九」公演のなかで、意外な名前が目を引くのが、新日本フィルハーモニー交響楽団の特別演奏会。同団の「第九」といえば、近年は各国の若手指揮者を起用してきたが、今年はスイスの名匠、マルク・アンドレーエを迎えるのである。
 作曲家・指揮者のフォルクマール・アンドレーエを祖父に持ち、スイスの著名な音楽一家に生まれたマルク。チューリッヒ音楽大学で学び、パリでナディア・ブーランジェ、ローマとシエナでフランコ・フェラーラといった名教師たちに師事し、1966年にはルドルフ・ケンぺ/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団主催の指揮者コンクールで優勝、68年にはフィレンツェのAIDEM作曲コンクールで優勝。69〜91年にはスイス・イタリア語放送管弦楽団の音楽監督を務めるなど、ヨーロッパ楽団のポストを歴任している。ミュンヘン・フィルやライプツィヒ・ゲヴァントハウス管など名門楽団にも定期的な客演を重ね、日本ではN響や読響との共演歴があるが、新日本フィルには初登場となる。名声に比して録音が少ない指揮者だが、2015年リリースのバンベルク響とのシューマンとメンデルスゾーンでは生命力と滋味あふれる演奏を聴かせていて、「第九」の実演で名匠の真価を再発見できる喜びは大きい。
 ソリストは、東京二期会の舞台での大活躍が続くソプラノの森谷真理をはじめ、アルト山下牧子、テノール大槻孝志、バリトン久保和範と名歌手が並び、栗友会合唱団と共に、豊かな声の饗宴を楽しませてくれる。なお、12月15日のみ、「第九」に先立ち椎名雄一郎によるオルガン演奏が行われる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2017年12月号から)

2017.12/15(金)19:00 サントリーホール
12/16(土)14:00 すみだトリフォニーホール
12/17(日)14:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
http://www.njp.or.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • 映画『蜜蜂と遠雷』特集 | 直木賞作家・恩田 陸 インタビュー(2)
      on 2019/09/12 at 22:30

      interview & text:オヤマダアツシ photos:M.Otsuka/Tokyo MDE ピアノコンクールを巡るさまざまなことを克明に描く中で、音楽のもつ限りないパワーや、人の心の機微などを描いた『蜜蜂と遠雷』。原作者である恩田陸も絶賛する映画化が実現し、主要キャストである4人の俳優、さらにはそれぞれの演奏を担当したピアニストたちが早くも注目を集めている。後半では映画についての印象をお [&#8230 […]