無伴奏チェロ音楽の内奥にせまる
無伴奏チェロという特別な空間を演出する形は、さまざまな演奏者やプログラムによって聴衆へかけがえのない時間とインスピレーションを与えてきた。“思索の人”ピーター・ウィスペルウェイの場合は、はたしてどうだろうか。J.S.バッハという聖典、英国の孤高がひたひたと忍び寄るブリテン、そして抑制しきれない心の叫びが音楽を通じて聞こえてくるコダーイ。それぞれの無伴奏チェロ作品には魂が宿り、ウィスペルウェイと彼のチェロは音楽の代理人となる。語る楽器の雄弁さと可能性を引き出す彼の演奏は、その場を共有する者だけに強く訴えかけるエネルギーなのだ。
会場は年が明けてすぐのトッパンホール。静かな緊張感が支配する中、2018年のコンサートをどう楽しむか、音楽とどう向き合おうかと考える機会になるかもしれない。今回の来日ではコンサート数もわずか2つの予定。トッパンホールでの公演は、そのうちの貴重な1回だ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2017年12月号から)
2018.1/10(水)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/