細川千尋(ピアノ)

異色のジャズ新星ピアニスト登場!

C)井村重人
 モントルー・ジャズ・フェスティバル・ソロ・ピアノ・コンペティションにおける日本人女性初のファイナリスト…と聞けば、多くの人はゴリゴリのジャズ・ピアニストを想像するかもしれない。
 だがこの人、細川千尋はちょっと違う。幼い頃からピアノと戯れ、曲を作り、クラシックを徹底的に学び、音大在学中に出会ったジャズに自分が求める音を見いだしたという彼女の指から発せられる音楽は、時にクラシカルな叙情性を湛え、時に情熱的なラテン・フレーバーを迸らせ、時に軽やかなスウィング・ビートで聴く者の心を浮き立たせ、という具合に自由奔放。その、枠にとらわれない表現のありようは、まさにワン・アンド・オンリーの個性と言っていいだろう。
 そんな細川が12月、浜離宮朝日ホールでトリオによるジャズライブをおこなう。
「トリオでのホール公演は初めての経験なのですが、もともとホールで演奏することが好きなのでとても楽しみです。音響が素晴らしい会場なので、響きを活かした演奏ができればと思っています。トリオのメンバーはニュー・アルバム『CHIHIRO』とおなじ鳥越啓介さん(ベース)と石川智さん(ドラムス)。お二人ともジャズだけではなく様々な音楽に精通されている方で、私が求めている理想のサウンドをいっしょに作ってくれる素晴らしいミュージシャンです」
 コンサートでは自身のオリジナルや「サマータイム」「マイ・リトル・スエード・シューズ」といったジャズ・スタンダードなど多彩な曲が演奏される予定だが、とりわけ注目したいのは、クラシック曲をジャズ・アレンジしたナンバーだ。
「実はこれまで“クラシックのジャズ化”というのは1度もやったことがないんです。というか、中途半端がいやだったのであえてやらなかった。やるならしっかりと練り込んだものをしかるべきタイミングで…今回がその時だと思ったので、一大決心してプログラムに入れることにしました。グノー=バッハ『アヴェ・マリア』、『パガニーニの主題による“ジャズ”変奏曲』、ドビュッシーの『ゴリウォーグのケークウォーク』を演奏する予定ですが、特にパガニーニは私のエキスがふんだんに入った音楽になると思うので、楽しみにしていてください」
 クラシック、ジャズ、作曲—―自分がこれまで学んできたすべてを発揮できるコンサートにしたいという細川。希有な才能の新しいページが開かれる瞬間に、ぜひ立ち会われたし。
取材・文:藤本史昭
(ぶらあぼ2017年12月号より)

細川千尋 ジャズライブ
2017.12/8(金)19:00 浜離宮朝日ホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
http://www.chihirohosokawa.com/

CD
『CHIHIRO/細川千尋』
テレビマンユニオン 
TVU-S-4-002
¥2315+税
2017.11/19(日)発売