ゴヤのパトロンだった“美魔女”にフォーカス
官能的な肢体と、謎めいた視線。スペイン最大の画家、フランシスコ・デ・ゴヤの作品に登場する黒髪の美女、アルバ公爵夫人カイエターナ。楽壇きっての“歴女”と称される西山まりえが、歴史に名を残すヒーローやヒロインの人物像を、チェンバロやヒストリカル・ハープで綴ってゆくシリーズの第5弾は、この“美魔女”にスポットを当てる。
ゴヤのパトロンであり、奔放で、時に王妃と女の意地の火花を散らすなど、宮廷にスキャンダルの嵐を起こしたカイエターナ。ゴヤによる肖像画が複数残っているほか、代表作「裸のマハ」「着衣のマハ」のモデルとも。彼女は40歳で突然高熱を発し、この世を去ったが、毒殺されたとの説は今も根強い。
ステージでは、原田陽と廣海史帆(ヴァイオリン)、朝吹園子(ヴィオラ)、懸田貴嗣(チェロ)という4人の名手が西山のチェンバロと共演。ソレルとボッケリーニによる2つの「ファンダンゴ」や、ブラスコ・デ・ネブラのソナタなど、カイエターナも宮廷で実際に耳にしたかもしれない作品の数々を通して、短くも情熱的な生涯を辿る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年9月号より)
2017.10/4(水)13:30 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
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