アフタヌーン・コンサート2017/2018 シリーズ 若き才能のきらめきVol.1 ヨゼフ・シュパチェク(ヴァイオリン)

 ほのかな情熱と心優しき旋律。そこから湧き上がって来る、抑えがたいほどの郷愁。私たち日本人が、心の底で聴きたいと願っているサウンドに、きっと出逢えるだろう。“弦の国・チェコ”の系譜を受け継ぎ、史上最年少で名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任した俊英ヴァイオリニスト、ヨゼフ・シュパチェク。往年の巨匠たちが大切に愛奏してきた珠玉の名曲ばかりを厳選した、来日リサイタルを開く。
 1986年チェコ生まれ。アメリカの名門カーティス音楽院を経て、ジュリアード音楽院で巨匠イツァーク・パールマンに師事。2008年にカール・ニールセン国際音楽コンクールで第3位となるなど登竜門での実績を重ね、11年にはチェコ・フィルの楽団史上、最も若い24歳でコンサートマスターに就任し、大きな話題に。その一方、ソリストとして国内外の第一線楽団と共演、チェコ・フィルの同僚たちと弦楽四重奏団「シュパチェク・カルテット」も結成し、名演を聴かせている。
 今回は、気心の知れた名ピアニスト、ミロスラフ・セケラが共演。ボヘミアの旋律美に憧れを抱いていたブラームスの作品から、ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」と、華麗な技巧と歌心に彩られたワックスマン「カルメン幻想曲」がメインに。ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」や、名ヴァイオリニストでもあったスークの「ラブ・ソング」と、故国が誇る大作曲家の手になる傑作、そしてクライスラー「愛の喜び」やチャイコフスキー「ワルツ・スケルツォ」など、珠玉の小品を配する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年8月号から)

2017.9/27(水)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/