まずは写真をご覧いただきたい。そのクールなビジュアルは、さながらロック・バンドのようではないか!
彼らの名はWASABI。津軽三味線の兄弟ユニット「吉田兄弟」の吉田良一郎が「子どもたちに和楽器の魅力を伝えたい」という思いから、元永拓(尺八)、市川慎(箏・十七弦)、美鵬直三朗(太鼓・鳴り物)とともに結成、キャッチーでパワフルな楽曲とパフォーマンスがジャンルを超えて注目されている新・純邦楽ユニットである。
「今の若い世代は、和楽器の音色をほとんど知らないのです。つまり和楽器に対するイメージが真っ白。それならかしこまった古典よりも、カジュアルな服装でわかりやすい音楽を聴いてもらえば興味を持ってくれるんじゃないか、というのが結成の動機です」(吉田)
「実際手応えは感じます。高校のコンサートでは“出待ち”とかあるし(笑)。古典の公演ではあり得ないことです」(元永)
とはいえ、近年は和楽器でポップスを演奏することも、決して珍しくはない。ならば新・純邦楽ユニットの“新”とはいったい?
「和楽器というと一括りにされがちなのですが、津軽三味線と太鼓は民謡を、箏と尺八は邦楽の古典を演奏することが多く、これらの楽器がいっしょにやることはほとんどないんです。そこがまず新しい」(元永)
「それと音楽の作り。各人は伝統音楽の古典的フレーズを弾いてるんだけど、曲の構造は今風の作りになっている。それを和楽器だけでやっているところも“新”だと思います」(吉田)
来たる9月、このWASABIが第一生命ホールの「645コンサート〜充電の60分〜」に登場する。日本音楽集団の公演でこのステージにたびたび立っている元永と市川にホールの印象をきくと「まず形がきれい。楕円形で包み込まれるような感じで」(元永)、「生音でやる機会が多いが、とにかく音がいい」(市川)と大絶賛。素晴らしい音響を誇る室内楽ホールで、和楽器が奏でる曲たちがどう響くのか、メンバーたちも期待感マックスといった感じだ。
またコンサートでは、学校公演同様に楽器体験コーナーも設けられる予定(当日会場にて抽選あり)。
「和楽器に触れるチャンスはあまりないと思うので、貴重な機会だと思いますよ」(美鵬)
最後に、コンサートに向けての抱負をきいた。
「とにかく、楽しくわかりやすく和楽器の魅力をお伝えしたいですね。WA(和)+SABI(サビ=曲の盛り上がり部分)のユニット名どおり大いに盛り上げますので、みなさんぜひいらしてください!」(吉田)
取材・文:藤本史昭
(ぶらあぼ2017年8月号より)
645 コンサート 〜充電の60分〜 新・純邦楽ユニット WASABI
2017.9/27(水)18:45 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net/