サントリーホール2017 リニューアル記念 Reオープニング・コンサート

サントリーホールの新たな幕開けを告げるロッシーニの大作

ジュゼッペ・サッバティーニ (c)Suntory Hall

 2017年8月までの改修工事を終え、サントリーホールの新たな幕開けとなる9月1日に、『Reオープニング・コンサート』が開催される。この日のメインプログラムは、ジュゼッペ・サッバティーニが振るロッシーニ「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」。フル・オーケストラと大合唱、オルガンの響きを楽しめるロッシーニの名作だ。管弦楽は東京交響楽団、合唱は東京混声合唱団とサントリーホール オペラ・アカデミー。
 ロッシーニは晩年に、音楽的に自分のものをしっかり書き遺したいという思いがあった。それも流行にとらわれないミサ曲という形式の中で。それが結実しているのが、この「ミサ・ソレムニス」なのだ。
 前半はソリストたちの声と合唱の迫力を楽しめるのに対し、後半の中盤、オルガン独奏のある「宗教的前奏曲」からは、落ち着いた神々しさのようなものが感じられ、荘厳ミサ曲の“荘厳”という言葉がよみがえってくる。
 来年はロッシーニ没後150年。メモリアル・イヤーに先駆けて、晩年の名作をオリジナルの小編成ではなく、ロッシーニ自身の手によるオーケストラ・バージョンで演奏することは、とても意義がある。オルガンや合唱が加わって、新しいサントリーホールでの“響き”を観客とともに会場全体で包む。こういう場所で演奏されてこそ、「ミサ・ソレムニス」の本当の響きの価値を楽しむことができるといえるだろう。
 オペラ歌手から指揮者に転身し、サントリーホール オペラ・アカデミーで若手育成に情熱を注ぐマエストロ・サッバティーニが、オーケストラとソリストたち、合唱をどのように導いていくのか、こちらもとても楽しみだ。
文:朝岡 聡
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

9/1(金)18:00 サントリーホール 
5/28(日)発売
問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 
http://suntory.jp/HALL/