紀尾井 明日への扉17 伊東 裕(チェロ)

若き名手が紡ぐ雄弁で温かな調べ

 魅力ある若手演奏家にリサイタルの機会を提供するシリーズ『紀尾井 明日への扉』の第17回に、音楽へのひたむきさと誠実さで「心に響く」と話題のチェリスト、伊東裕が登場する。
 伊藤は奈良県出身で、2008年に開かれた、第77回日本音楽コンクールのチェロ部門で第1位となり、徳永賞も受賞した。東京芸術大学を首席で卒業後、同大学院を経て、現在はオーストリアの名門ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に留学し、名匠エンリコ・ブロンツィの下で、さらなる研鑽を積んでいる。
 ピアノの須関裕子が共演するリサイタルでは、思い入れの深いシューベルトとブラームス、そして2人をつなぐシューマンと、ロマン派の佳品を弾く。まずは、シューマン「アダージョとアレグロ」を披露。そして、シューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」、ブラームス「チェロ・ソナタ第2番」と、ロマン派の真髄ともいえる傑作を並べる。「心の奥底に染みて、幸せな気持ちになる」との評判を呼ぶ、俊英が紡ぐ雄弁で温かな調べ。ぜひ、体感したい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

7/21(金)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 
http://www.kioi-hall.or.jp/