ハンガリーが生んだ名手へのオマージュ
渡辺健二がハンガリーゆかりの作品に積極的に取り組むようになったのは、リスト音楽院留学中にリスト・バルトーク国際コンクールに入賞したことがきっかけ。現在は東京芸術大学教授として後進を育成する傍ら、リストのスペシャリストとしても多彩な活動を続けている。
6月の公演では、昨年64歳で他界したハンガリーを代表するピアニストのゾルタン・コチシュに想いを馳せ、バルトークやリスト、ブラームスを演奏する。
演奏会は、追悼の意を込めてバルトーク「4つの挽歌」第1曲で幕を開ける。続く「子供のために」は渡辺が3年前から全曲演奏に取り組む作品で、今回の第4集で完結。またコチシュ編曲のワーグナー《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と、リスト編曲の「愛の死」を続けて聴けるのも楽しみだ。
最後に置かれるリスト「ラーコーツィ行進曲 S.244a」は、「ハンガリー狂詩曲」中の1曲ではなく管弦楽作品のピアノ編曲版で、演奏機会が少ない作品。リストの名手の演奏で聴くことができる貴重なチャンスとなる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ 2017年6月号から)
6/9(金)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp/