ロシアの名曲を豪華ソリストたちとの共演で
ロシアを代表するオーケストラの一つであるモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団が首席指揮者ユーリ・シモノフとともに来日する。モスクワ・フィルは、1951年に創設され、60年にキリル・コンドラシンが首席指揮者に就任し、大きな飛躍を遂げた。コンドラシン&モスクワ・フィルは、61年にショスタコーヴィチの交響曲第4番の、62年には同第13番「バビ・ヤール」の世界初演を手掛ける。そして史上初のショスタコーヴィチ交響曲全集の録音も敢行している。マーラーの交響曲第9番の日本初演も、彼らによって行われたのであった。現在の首席指揮者シモノフは、ボリショイ劇場の首席指揮者を経て、98年からモスクワ・フィルを率いており、ロシア的な骨太でドラマティックな演奏を聴かせてくれるに違いない。
今回の来日公演ではロシアの名曲を中心とした様々なプログラムが組まれているが、とくに7月3日の東京芸術劇場公演では、彼らの十八番ともいうべきチャイコフスキー「悲愴」のほか、ロシアの20世紀の協奏曲での日本を代表するアーティストたちとの共演が楽しみだ。
チャイコフスキー国際コンクール優勝以来国際的に活躍し、進境著しい上原彩子のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番。そして、デビュー40周年を迎え、最近は他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも行うなどますます活躍の幅をひろげ、人気を高めている大谷康子によるプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番。抒情豊かな名曲で、大谷がベテランならではの美しい演奏を聴かせてくれることであろう。
文:山田治生
(ぶらあぼ 2017年5月号から)
7/3(月)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:コンサート・ドアーズ03-3544-4577
※モスクワ・フィル来日公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.concertdoors.com/