11月18日の「ザルツブルク・イースター音楽祭 in JAPAN」開幕を翌日に控えた17日、サントリーホール ブルーローズで記者会見が行われた。登壇者は、サントリーホールの市本徹雄総支配人、クリスティアン・ティーレマン(ザルツブルク・イースター音楽祭音楽監督、シュターツカペレ・ドレスデン首席指揮者)、ヤン・ナスト (シュターツカペレ・ドレスデン事務局長)、イザベル・カラヤン (女優)、アンドレアス・ヴィレジョウ(シュターツカペレ・ドレスデン団員代表、ソロ・コントラバス奏者)。
この秋最大の音楽祭の意義や意気込みを口々に語り、併せてシュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者たちによる室内楽演奏、また2017年に50周年を迎えるザルツブルク・イースター音楽祭の紹介映像も初披露されるなど充実した会見は、本日開幕する音楽祭への期待を大いに高めるものとなった。
この日の会見では、音楽祭の”チーム”としてホール、そして出演者が互いへの敬意を示した。サントリーホールは彼らの音楽を、イザベル・カラヤンの創意を、そして音楽祭の歴史を讃え、対して出演者はホールのプロフェッショナルな運営を、そしてなにより素晴らしい音響を賞賛する。なかでも「このホールのどこかにはきっと、父(ヘルベルト・フォン・カラヤン)がいてくれるのだと感じる」と語ったイザベルの笑顔は強く印象に残った。そして登壇した全員が、日本の聴衆への感謝と敬意を口にしたことも申し添えたい。
サントリーホール30周年を記念する一連の特別演奏会を締めくくるこの音楽祭に向けて、関係者は数年がかりで準備を進めてきた、と市本総支配人は語る。「ホールと縁の深いマエストロ、ヘルベルト・フォン・カラヤンが創設した音楽祭をここで開催することで、彼への感謝を示したい」との言葉どおり、出演者もマエストロ・カラヤンと縁の深い面々が集まっている。若き日に彼の薫陶を受けたティーレマン、長女で女優のイザベル、そして数少ないながら彼とは印象的な共演を果たしたシュターツカペレ・ドレスデンと、これだけの顔ぶれが揃い、オーケストラ・コンサートや室内楽、劇と多彩なプログラムが編まれた。
なかでも一番の注目はサントリーホールならではのホール・オペラ® ワーグナー:楽劇《ラインの黄金》-舞台祝祭劇《ニーベルングの指環》序夜だろう。ステージ上でこの作品を演奏するのは「挑戦」であり「勇気ある決断が必要だった」とティーレマンもオーケストラも語ったが、その表情には彼らの揺るがぬ自信がうかがえる。会見の後にはキャストも交えたリハーサルが行われ、いよいよ開幕の準備は整った。今日から9日間の濃密な祝祭がはじまる。
取材・文:千葉さとし 写真提供:サントリーホール
ザルツブルク・イースター音楽祭 in JAPAN
ホール・オペラ®
ワーグナー:楽劇《ラインの黄金》
11/18(金)18:30、11/20(日)16:00
サントリーホール
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
http://suntory.jp/HALL
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(ぶらあぼ 2016年10月号から 文:眞鍋圭子)