新しい視点で臨む精密な「第九」に期待
毎年12月、在京オーケストラによる多くの「第九」コンサートがある中、おそらくトリを担っているのは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団だろう。今年も12月28日に、その特別演奏会が行われる。
指揮台に立つのは常任指揮者として2年目のシーズンを迎えている高関健。昨年は桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎による堂々とした力強い「第九」だったが、今回は違った印象の演奏になるはずだ。高関は常にスコアへ新しい視点から臨み、さまざまなオーケストラを指揮してベートーヴェンのサウンドをリフレッシュさせてきた。しかも、東京で高関の指揮による「第九」が聴けるという機会も貴重なだけに、さらに期待感は盛り上がるだろう。
ソリストの歌手陣も、9月定期《ファウストの劫罰》に出演した西村悟(テノール)と林美智子(メゾソプラノ)、人気ソプラノ歌手の市原愛、ベテランの域に達しているバリトン歌手の堀内康雄という充実のクァルテット。オーケストラの響きを熟知している東京シティ・フィル・コーアの合唱も、第4楽章においては雄弁な響きで聴衆の心に届くはずだ。
なお「第九」の前には、2015年の「日本管打楽器コンクール」ユーフォニアム部門で第1位および東京シティ・フィル特別賞を獲得し、話題の「ぱんだウインドオーケストラ」等でも活躍している佐藤采香(あやか)がソリストとして登場。J.ホロヴィッツ作曲の協奏曲を演奏することにも注目を。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2016年10月号から)
12/28(水)14:00 東京文化会館
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp