ピエール・アモイヤル(ヴァイオリン)

名匠と精鋭たちが紡ぐ瑞々しいアンサンブル

 フランスとロシアの血を引く世界的ヴァイオリニスト、ピエール・アモイヤル。彼は演奏活動だけでなく、各地で後進の指導にも積極的にあたっている。そのひとつ、2014年まで教授を務めたスイスのローザンヌ音楽院で、若く優秀な弟子を中心とした13人の弦楽器奏者とともに、02年に結成したのがカメラータ・ド・ローザンヌ(以下CDL)だ。この度、待望の初来日公演が決定した。メンバーには、12年のエリザベート王妃国際コンクールの覇者アンドレイ・バラーノフや伊藤(尾池)亜美(以上ヴァイオリン)、清水祐子アモイヤル(ヴィオラ)ら、実力派が集う。
「最初は教育の一環として師弟と共に設立したアンサンブルが一昨年から本格的なプロ活動を開始したのです。また、メンバーの選定では、フレッシュな心と、ヴィブラートをはじめとした技巧の精確さを重要視しました」
アモイヤルは、巨匠ヤッシャ・ハイフェッツに長年師事したことでも知られる。
「ハイフェッツ先生には、音楽の表現方法や、聴き手との対話の極意など、演奏家に必要な“すべて”を教わりました。私は先生の直系の弟子として、CDLの若い世代にもその教えを伝えていくつもりです」
東京文化会館小ホールでの公演(7/7)は、若林顕がソロを弾くショパン「ピアノ協奏曲第1番(弦楽合奏版)」や、チャイコフスキー「弦楽セレナード」など。藤沢市民会館(7/8)では、モーツァルト「ディヴェルティメント」や、「ピアノ協奏曲第13番」などを演奏する(ソリストは菅野潤)。
「チャイコフスキーは、私たちにとって最も重要なレパートリーのひとつ。大編成の弦楽オーケストラに勝るとも劣らない、瑞々しくしなやかな演奏をお届けします。モーツァルトもかねてから敬愛する作曲家。でも近年、私がザルツブルクのモーツァルテウム音楽院で教鞭をとるようになり、理解度や親密度がさらに増した気がします」
また、CDLは今回の来日に合わせて、13年にワーナーからリリースした2枚のCDを国内盤化。『モーツァルト:協奏交響曲K.364&コンチェルトーネK.190』と、『チャイコフスキー:弦楽セレナード&フィレンツェの想い出』だ。
「結成10周年の節目にあたる12年にスイスで録音しました。モーツァルトのソリストは、『K.364』を私と祐子アモイヤル、『K.190』を私と伊藤さんが、それぞれ担当。お聴きいただければ、メンバーの演奏水準の高さがよくわかると思います。そして、今回の来日公演でも演奏する『弦セレ』。録音から4年経った私たちの過去と現在、その聴き比べをお楽しみください」
取材・文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年6月号から)

7/7(木)19:00 東京文化会館(小)
7/8(金)19:00 藤沢市民会館
問:コンサートイマジン03-3235-3777
日本ツアーの詳細については下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.concert.co.jp

CD

『モーツァルト:協奏交響曲K.364&コンチェルトーネK.190』
WPCS-13373
ワーナーミュージック・ジャパン
¥2600+税

 
 
 
 
 


『チャイコフスキー:弦楽セレナード&フィレンツェの想い出』
WPCS-13374
ワーナーミュージック・ジャパン
¥2600+税