パスカル・ヴェロ(指揮) シエナ・ウインド・オーケストラ

フレンチ・サウンドを創出する強力タッグ

 日本の吹奏楽団でフランスのサウンドが出せるだろうか? 答えはイエス。昨年1月に同国の名匠パスカル・ヴェロが、シエナ・ウインド・オーケストラを初めて振ったとき、それが実現した。「喜びの島」や「ダフニスとクロエ」第2組曲の精妙な音の綾と艶美な色彩感は、まさしくフランスのテイストだった。さて5月の同楽団定期に再びヴェロが登場する。今回注目されるのは、ゲスト・コンサートマスターに、パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ管のクラリネットの第1ソリスト、シルヴィー・ユーを迎えること。パリ音楽院では稀少な女性の1等賞獲得者にして、世界各国でソロ活動を行う彼女は、確かなテクニックと豊かな感受性をもち、地元誌では“現代最高のクラリネット奏者の一人”と称されている。「ボレロ」「ラ・ヴァルス」「寄港地」等が演奏され、ヴェロの指揮に彼女のリード(むろん随所でのソロも楽しみ)が加わる今回は、日本の吹奏楽史上稀なフレンチ・サウンドの出現を期待せずにおれない。これは、オーケストラ・ファンも要注目だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から)

第42回 定期演奏会
5/28(土)15:00 文京シビックホール
問:シエナ・ウインド・オーケストラ事務局03-3357-4870
http://sienawind.com