川瀬賢太郎(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

情熱とリズムが弾ける華麗なオープニング


 川瀬賢太郎への注目度が増している。1984年生まれの彼は、2014年(指名時は20代!)に神奈川フィルの常任指揮者に就任し、現在は名古屋フィルの指揮者も兼務している。15年には「渡邉暁雄音楽基金」の音楽賞を受賞。この3月には、実力派指揮者が選出されてきた「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞。先日行われた同賞の授賞式で永久選考委員の小澤征爾から直に贈賞された。彼の凄さは、若さに似合わぬ堅牢な構成力と内なるパッションの共生であろうが、伸びしろの大きさも感じさせるだけに目が離せない。
 そこで注目すべきは、シェフとなって3シーズン目を迎える神奈川フィルの定期公演。開幕の4月に登場し、ベルリオーズの「幻想交響曲」を軸としたプログラムを披露する。あの斬新なオーケストレーションと情熱や狂気をどう表現し、数多の名演がなされてきたこの曲で、聴く者にいかなる感銘を与えるか? チラシなどにある彼のメモには「ここぞというポイントで指揮する勝負曲」と記されているので、大いに期待したい。また、プーランクの「2台のピアノのための協奏曲」では、ロン・ティボー国際コンクールで優勝した田村響と、シューベルト国際コンクールで優勝した佐藤卓史がソロを弾く。こうした軽妙な2台協奏曲を、男性実力派コンビで聴く機会は稀ゆえに、こちらも要注目だ。ちなみに先の川瀬メモいわく、同曲は「モーツァルトが隠れてるオシャレな協奏曲」で、1曲目のコダーイ「ガランタ舞曲」は「かっこいいダンスチューン」。これは、あらゆる意味で楽しくエキサイティングな公演になりそうだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)

第318回 定期演奏会 みなとみらいシリーズ
4/9(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107
http://www.kanaphil.or.jp