熟成の名手が望んだデュオの貴重な再演
諏訪内晶子は、近年ますます充実度を増してきた。要因のひとつが、2012年から主宰する『国際音楽祭 NIPPON』。復興支援等の社会貢献にも目を向けた同音楽祭の4年を通して、持ち前の美音と完璧なテクニック、精緻な表現力に、柔らかみや細かなニュアンスを加えている。その音楽祭で2014年に初共演したのが、1989年リスト国際ピアノ・コンクールの覇者エンリコ・パーチェ。彼との共演を熱望していた諏訪内は、念願の舞台で、これまで以上にしなやか且つ情感溢れる演奏を聴かせた。
今回は待望の再共演。より深化した名演が期待できるだけに要注目だ。モーツァルト、グリーグ、武満、フランクと、古典派、国民楽派、現代、ロマン派の、国の異なる作品が並んだプログラムも魅力十分。特に、旋律美や劇的なロマンに溢れたグリーグとフランクの両ヴァイオリン・ソナタを満喫できるのが嬉しい。5月にはロンドンのウィグモア・ホールでも公演するデュオとその勝負プログラムは、遠方からも足を運ぶ価値大!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)
4/9(土)15:00 よこすか芸術劇場
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
http://www.yokosuka-arts.or.jp