ロンドン、コヴェント・ガーデン発のホットな舞台を映画館で満喫できる『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2015/16』では1月23日(土)から英国ロイヤル・バレエ団「ヴィサラ/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン」を上映する。
同団のファースト・ソリストで『ヴィサラ』に出演した平野亮一に公演の魅力や近況を聞いた。
取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)
『ヴィサラ(Viscera)』とは腹腔内の臓物、はらわたの意。アメリカの作曲家ローウェル・リーバーマンのピアノ協奏曲にのせて繰り広げられる同作を振り付けたリアム・スカーレットは世界が注目する気鋭だ。
「リアムは音楽を大切にする。音感が良く踊っていて気持ちいいですね」
アルゼンチン出身の人気プリンシパル、マリアネラ・ヌニェスと官能的なデュエットを披露する。
「マリアネラとはよく組みますが今回も信頼してくれて、やり易かったです」
この公演ではロンドンの観客に長年愛されてきたキューバ出身のカルロス・アコスタが自身の手による新版『カルメン』を花道にバレエ団を去った。
「憧れていたので一緒に仕事ができて光栄でした。世界のカルロス・アコスタでも年齢には勝てなかったことは残念です」
先だって日本でも上映されたケネス・マクミラン版『ロミオとジュリエット』ではヒロインのジュリエットの婚約者パリスを演じた。
「優しいのですが影を持っている奥の深いキャラクターなので演じるのは難しいです。幕ごとに感情が違うのを上手く表現するのが一番の目標でした」
映画館上映される舞台に臨む気持ちとは?
「クローズアップで撮られるので気になるし緊張はします。でも中継が入るか入らないかに関わらず、全力投球を心がけています」
日本で上映を観た友人からも連絡が来るという。映画館上映をこうアピールした。
「本場のバレエを見てほしいです。映画館で見てロイヤル・オペラ・ハウスに行きたいなと思っていただきたい。ぜひコヴェント・ガーデンにも来てほしいですね」
名門が誇るロイヤル・スタイルの特徴と近年のカンパニーの動向について問うた。
「ロイヤル・スタイルはポジションが正確で上半身を凄く使います。あと演技が上手ですね。マクミラン作品とかドラマチックな作品をやった時にロイヤルの一番いい味が出ると思います。ケヴィン(・オヘア)が芸術監督になってからは新しい作品が多くなりました」
今後の抱負と今年6〜7月に控える来日公演についてこう話す。
「怪我をせず一回一回の舞台を大切にしたいと思います。来日公演の『ロミオとジュリエット』と『ジゼル』に参加するかどうか、いまはまだ分からないですが、ぜひ日本で踊りたいですね」
■英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2015/16
『ヴィサラ/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン』
(イギリス公演日:2015年11月12日)
●「ヴィサラ」
<振付>リアム・スカーレット
<出演>平野亮一/ラウラ・モレーラ/マリアネラ・ヌニェス
●「牧神の午後」
<振付>ジェローム・ロビンス
<出演>サラ・ラム/ワディム・ムンタギロフ
●「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
<振付>ジョージ・バランシン
<出演>ヤーナ・サレンコ/スティーヴン・マックレー
●「カルメン」
<振付>カルロス・アコスタ
<出演>マリアネラ・ヌニェス(カルメン)/カルロス・アコスタ(ドン・ホセ)
・日本上映:2016年1月23日(土)〜1週間限定公開
・上映時間:約3時間23分
・上映劇場:TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズららぽーと横浜、お台場シネマメディアージュTOHOシネマズ名古屋ベイシティ 大阪ステーションシティシネマ
■『ロミオ&ジュリエット』
(イギリス公演日:2015年9月22日)
2月13日(土)より品川プリンスシネマにて再上映決定!
<振付>ケネス・マクミラン
<出演>サラ・ラム(ジュリエット)
スティーヴン・マックレー(ロミオ)
ギャリー・エイヴィス(ティボルト)
アレクサンダー・キャンベル(マキューシオ)
平野亮一(パリス)
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2015/16 HP
http://roh2015jp.wix.com/cinemaseason