小井土文哉の新譜『Chopin-Scriabin-Liszt』は、2026年3月の王子ホールライブを収める。本作の中心となるスクリャービンは、小井土のキャリアの原点かつ飛躍の起点というべき作曲家だ。この作曲家が敬愛するショパンとリストを並べ、独自の響きがより自然に浮かび上がる構成とした。ショパンの夜想曲は漆黒の美をたたえた内省的な歌い口、スクリャービンの小品群では感情のうねりが細やかな緩急によって描かれ、ソナタ第4番は甘美な呼吸と上品な躍動が魅力的だ。リストでは語り口がいっそう鮮やかに広がる。三者の連続性を感じさせる一枚。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年10月号より)
【information】
CD『Chopin-Scriabin-Liszt/小井土文哉』
ショパン:夜想曲第17番、同第13番/スクリャービン:左手のための2つの小品、2つの詩曲、ピアノ・ソナタ第4番、5つの前奏曲、3つの小品/リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」より〈ペトラルカのソネット第123番〉〈ダンテを読んで〉 他
小井土文哉(ピアノ)
収録:2026年3月、王子ホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCT-00220 ¥3520(税込)

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


