“まろ”こと篠崎史紀と曽根麻矢子が和楽器の名手たちと競演

左:篠崎史紀 ©井村重人
右:曽根麻矢子 ©Yuji Hori

 東京の日本製鉄紀尾井ホールは、2026年12月末まで修繕工事で休館中のため、別会場でさまざまな公演を開催している。

 その一つが「響き合う和と洋」のシリーズだ。クラシック用と邦楽用の2つのホールがある日本製鉄紀尾井ホールならではのコンセプトで、邦楽と西洋音楽の演奏家と作品を組み合わせたコンサートを、日本各地のホールに出前するプロジェクトだ。

 これまでの北陸、近畿、九州に続き、6月には北海道の札幌コンサートホールKitaraと室ガス文化センター(室蘭市文化センター)の2ヵ所で公演が行われる。

 クラシックからの出演者はヴァイオリンの「まろ」こと篠崎史紀と、チェンバロの曽根麻矢子。邦楽が発展した江戸期に時代を合わせて、テーマはバロック音楽。曽根によるダカンとラモーのクラヴサン作品2曲に続き、篠崎との共演でヘンデルとコレッリのヴァイオリン・ソナタが演奏される。篠崎はモダン楽器をひくが、ヴァイオリン音楽の歴史にも造詣が深いだけに、当時の様式を意識した演奏をするだろう。

 締めくくりは二人が長唄演奏家と共演し、今藤長龍郎の構成による「越後獅子協奏曲」を演奏する。元になった長唄「越後獅子」は、クラシックでもプッチーニの歌劇《蝶々夫人》に引用されており、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の旋律もその影響を受けていると言われている。それをこうした形で聴くことには、新たな出会いと発見がありそうだ。

文:山崎浩太郎

(ぶらあぼ2026年4月号より)

響き合う和と洋 札幌・室蘭公演 MATSURI ―和と洋の響宴―
2026.6/6(土)14:00 札幌コンサートホールKitara(小)
問:Kitaraチケットセンター011-520-1234
音楽の交差点~輝くバロック 花咲く江戸~
2026.6/7(日)15:00 室ガス文化センター(室蘭市文化センター)
問:室ガス文化センター0143-22-3156 
https://kioihall.jp


山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki

1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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