墨田の地で響かせる平和への祈り——高関健&東京シティ・フィル「戦争レクイエム」

左より:高関 健 ©大窪道治/木下美穂子 ©Yoshinobu FUKAYA auraY2/宮里直樹 ©深谷義宣 auraY2/大西宇宙 ©Marco Borggreve

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団はティアラこうとうで定期的に演奏会を行ってきたが、同館が長期改修工事に入るため、その間お隣、墨田区のすみだトリフォニーホールで3回の特別演奏会を開催する。その第1回は、8月13日、ブリテン没後50年を記念して、彼の代表作とも言うべき「戦争レクイエム」を演奏する。

 この作品は1962年、ドイツ軍の空襲により破壊されたイギリスのコヴェントリー大聖堂の再建を祝い作曲された大作。三人の独唱者、混声合唱、児童合唱、二つの管弦楽が、ラテン語によるレクイエム典礼文に、第一次世界大戦で戦死した詩人ウィルフレッド・オーウェンの反戦詩を交錯させる。宗教的な祈りと現実の戦争の悲劇とを対置しながら、人間の愚かさと平和への希求を鋭く描く。

 指揮は的確な解釈と緻密な構築力に定評がある同楽団常任指揮者の高関健。独唱には木下美穂子(ソプラノ)、宮里直樹(テノール)、大西宇宙(バリトン)といった実力者が名を連ね、東京シティ・フィル・コーアが合唱を担う。さらに児童合唱として江東少年少女合唱団が加わり、天上的な響きで作品の祈りを彩る。

 墨田の地は東京大空襲によって焼け野原となった歴史を持つ。その記憶を宿す場所で平和主義者だったブリテンの「戦争レクイエム」が鳴り響く。江東少年少女合唱団の出演も、地域を越えた連帯の証だ。戦後も80年を超え世界情勢が一層の不穏さを増す中、終戦記念日を間近に控えた時期の公演を通じて、平和の意味に改めて思いを馳せたい。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2026年4月号より)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 すみだトリフォニーホール・特別シリーズ 第1回
2026.8/13(木)19:00 すみだトリフォニーホール 
4/10(金)発売
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp