青柳晋、2年半ぶりのリサイタルはドビュッシーとラヴェルを

©Ayane Shindo

 ソロ、室内楽奏者として、また大学での後進の指導およびコンクールの審査員としても活躍しているピアニストの青柳晋。多様な公演に出演する一方で、2006年から23年までは毎年自主企画のリサイタル『リストのいる部屋』を開催してきた。2年半ぶりとなる今回のリサイタルでは、ドビュッシーとラヴェルの作品を取り上げる。

 「リストは長生きしたこともあり、さまざまな作曲家と音楽的なつながりがありました。『リストのいる部屋』を通して多くの音楽に触れることができましたね。そうしてたくさんの作品を演奏していくなかで、特定の作曲家を深く掘り下げていきたいという想いが強くなっていきました。そして今回は、ドビュッシーとラヴェルを演奏しようと決めたのです」

 青柳はこれまで『リストのいる部屋』でドビュッシーの作品は取り上げていた(2014年、20年)が、意外にもラヴェルの作品は一度も演奏していない。

 「なんとなくリストと組み合わせるにあたって自分の中で“これだ”というものがなかったというのが大きいですね。ラヴェルの作品自体は演奏していますし、とくに今回のリサイタルでも演奏する『夜のガスパール』は高校の卒演やロン=ティボー国際コンクールでも弾いていて、私にとっては青春の曲でもあります」

 新たな形での自主リサイタルとなる今回、この二人の作曲家を取り上げることにしたのはどのような経緯だったのだろうか。

 「CDのレコーディングがきっかけです。ドビュッシーの『映像』をさらっていたとき、ラヴェルと組み合わせて、コントラストのあるプログラムにしたいというアイディアが浮かんできたのです」

 ドビュッシーでは「映像第1集」と「子供の領分」をメインに据えた。幅広いレパートリーを持つ青柳だが、フランスの作品は深く勉強する機会の多いものだったという。

 「師事したクラウス・ヘルヴィヒ先生がフランスものを得意とされていたのですが、レッスンそのもの、演奏はもちろん、さまざまなお話をしてくださって、そこからもたくさんのヒントやインスピレーションをいただきました。そのときに得たものはいまでも大切にしています。ドビュッシーの小品はアンコールではよく取り上げるのですが、こうしてプログラムのなかで演奏することはなかなかないですし、ラヴェルの『高雅で感傷的なワルツ』は久しぶりなので、新鮮な気持ちで取り組めると思います」

 今回のリサイタルはCDの発売記念も兼ねていて、収録曲も披露されるので、実演とCDの聴き比べも楽しめることだろう。

取材・文:長井進之介

(ぶらあぼ2026年4月号より)

青柳 晋 ピアノ・リサイタル ドビュッシーとラヴェル~フランス音楽の双璧
2026.5/16(土)14:00 ヤマハホール
問:ジェスク音楽文化振興会 03-3499-4530
https://susumusic.jp

CD『Susumu Aoyagi plays Debussy』
フォンテック
FOCD9933
¥3300(税込)
2026.5/13(水)発売


長井進之介 Shinnosuke Nagai

国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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