ペーター・ダイクストラ(指揮) スウェーデン放送合唱団

名門合唱団で聴く無伴奏合唱の傑作


 1925年創立のスウェーデン放送合唱団は、1952年に「合唱の神様」エリック・エリクソン(2013年没)が指揮者に就任して世界のトップ合唱団に躍り出て以来、常に合唱音楽のひとつの完成形を示し続けている存在。
 今年は創立90周年を迎え、地元ストックホルムでの定期演奏会ではその輝かしい歴史を振り返るプログラムを組んでいる。今回の東京オペラシティでの公演も、その路線に則った曲目で行われる。J.S.バッハ「主にむかいて新しき歌をうたえ」、ペルト「トリオディオン」(1998)、シェーンベルク「地には平和を」、ブラームス「祝辞と格言」、マルタン「二重合唱のためのミサ曲」。すべて無伴奏の、宗教曲もしくは宗教的テキストを持つ作品(ちなみにペルトを除く4曲はすべて、4声×2群ないし8声の編成)だ。
 合唱ファンにはなんともうれしい、ストライクゾーンど真ん中の直球勝負。オールド・ファンなら、シェーンベルク、ブラームス、マルタンのこの曲目に、彼らが1970年代に遺した旧EMIの伝説的名盤(ストックホルム放送合唱団名義)を思い起こす人もいるのでは(ブラームスは昨年リリースされた最新CDにも収録されている)。
 指揮はすでにおなじみ、現首席指揮者のペーター・ダイクストラ。合唱音楽の王道といえるレパートリーで、貫禄の横綱相撲を体験させてくれるのは間違いない。合唱ファンは言わずもがな、そうでない人も、これを機会にぜひ合唱の魅力に取り憑かれちゃってください。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

10/20(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp

他公演
10/12(月・祝)兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)、10/17(土)軽井沢大賀ホール(0267-31-5555)、10/18(日)宮崎/メディキット県民文化センター(0985-28-7766)