オーケストラ with バレエ『展覧会の絵』

自由な発想で音楽をヴィジュアル化

 地域と連携し、独自の活動を続けているバレエ・カンパニー、東京シティ・バレエ団。東京都江東区と芸術提携を結び、ティアラこうとうを舞台に、年間4演目を上演している。同じ劇場で繰り返し公演を行うことで、リピーター観客も増加、地域に根づいたバレエ文化の発信地となっている。
 この秋に行われるのは、やはり江東区と提携を結ぶ東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(船橋洋介指揮)と、バレエ団が同じ舞台上で共演する、ティアラこうとうオリジナルの人気公演。今年は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏と、オーケストラとバレエの共演によるムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」が上演される。
 バレエの構成・振付は、江東区を拠点に公演活動を続け、後進の育成にも力を尽くし、現在バレエ団評議委員をつとめる石井清子。舞台上でオーケストラと共演することで、ダンサーは緊密に音楽を肌で感じることができるが、反面ダンススペースが限られるのではないか、といった懸念もないではない。しかし、石井は、女性ダンサーだけで音楽構造を視覚的に見せた『ボレロ』、自由な発想で音楽とダンサーを結びつけた『カルメン』をはじめ、さまざまな作品をこの企画で上演しているので何の心配もいらない。限られたスペースを生かした空間構成力に注目したい。
 成長著しい若手、中森理恵、清水愛恵、キム・セジョンらが出演、協奏曲を奏でるヴァイオリン奏者の周防亮介とともに、大きく羽ばたいていく若きアーティストたちのパワーがティアラこうとうを満たす。
文:守山実花
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

10/11(日)15:00 ティアラこうとう
問:ティアラこうとうチケットサービス03-5624-3333 
http://www.kcf.or.jp