
山形交響楽団は毎シーズン、テーマを設け、世界的アーティストや指揮者を招き、独自のプログラミングによる画期的な公演を行なっている。2025-26シーズンは『伝説・伝承=LEGENDS』をテーマに、日本の音楽界の「レジェンド」も登場し名演を披露してきた。シーズン終盤も“山響”ならではの魅力的な公演が並び、期待が膨らむ。
年明け1月には、オペラのスペシャリストである常任指揮者・阪哲朗の手腕が光る「演奏会形式オペラシリーズ」の第4弾、プッチーニの《蝶々夫人》が上演される。歌手陣にはいま大活躍の森谷真理に宮里直樹、大西宇宙といった豪華な顔ぶれが並ぶ。
2月の第330回定期演奏会はバロック・古典音楽の第一人者である首席客演指揮者・鈴木秀美指揮によるオール・モーツァルト。山響は、古典派の音楽において鈴木と13年にわたる関係を築き、ピリオド楽器を用いての演奏でその時代の真実の音を追求してきた。プログラムは祝祭感にあふれた交響曲第35番「ハフナー」と「レクイエム」など。様々な版が存在する「レクイエム」だが、今回の演奏では鈴木が「最もモーツァルトらしい音楽的な魅力がある」と語る、時代考証や作品研究を重ねて生まれた「レヴィン版」が用いられる。
国際的にも評価の高い大植英次を指揮に迎える3月の第331回定期演奏会では、構築美と優雅さのただようベートーヴェンの交響曲第4番を中心としたプログラム。超絶技巧に深い歌心もあわせもつ前田妃奈がソリストを務めるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調も聴き逃せない。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年1月号より)
山形交響楽団 演奏会形式オペラシリーズⅣ / 定期演奏会
やまぎん県民ホールシリーズ2025 Vol.3 演奏会形式オペラシリーズⅣ
プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》
2026.1/18(日)15:00 やまぎん県民ホール
第330回 定期演奏会
2/7(土)19:00、2/8(日)15:00 山形テルサホール
第331回 定期演奏会
3/7(土)19:00、3/8(日)15:00 山形テルサホール 1/7(水)発売
問:山響チケットサービス023-616-6607
https://www.yamakyo.or.jp

長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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