
右:フランチェスカ・デゴ ©Davide Cerati
現在、メトロポリタン歌劇場首席客演指揮者、フランス国立リヨン歌劇場名誉音楽監督を務め、世界の主要な歌劇場やオーケストラで高い評価を得ているダニエーレ・ルスティオーニ。4月には都響の首席客演指揮者に就任が決まっている彼が、この1月、3回の定期演奏会に登場する。ルスティオーニと都響との初共演は2014年の東京二期会《蝶々夫人》。その時から両者の息はぴったりで、《蝶々夫人》はオペラとしても稀に見る名演となったのを覚えている。その後、たびたび共演を重ねて信頼関係を深めてきたのはご存知の通り。
BシリーズとCシリーズではレスピーギ「ローマの祭」とリムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」というラテン要素満載の2曲をメインに、イタリア系アメリカ人ヴァイオリニストのフランチェスカ・デゴをソリストに迎えたブラームスのヴァイオリン協奏曲、という「濃い」プログラム。歌心あふれる感性に加え、緻密な構成力をもつルスティオーニの実力が感じられる演奏会になるに違いない。
そしてAシリーズは得意のオペラのナンバーから、ヴェルディとワーグナーの序曲や前奏曲、バレエ音楽を集めたもので、こちらはまさにオペラ指揮者としてのルスティオーニの面目躍如のプログラム。都響は近年、オペラにも力を発揮しているが、その原点であるルスティオーニと奏でる「オペラの中のオーケストラ・ナンバー」の数々は、たとえ「歌」がなくても「歌」を感じさせる音楽となるはずだ。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2026年1月号より)
ダニエーレ・ルスティオーニ(指揮) 東京都交響楽団
第1032回 定期演奏会 Bシリーズ
2026.1/15(木)19:00 サントリーホール
第1033回 定期演奏会 Cシリーズ
1/17(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第1034回 定期演奏会 Aシリーズ
1/23(金)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp

室田尚子 Naoko Murota
東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京科学大学・昭和音楽大学非常勤講師。NHK-FM「オペラ・ファンタスティカ」レギュラー・パーソナリティ。オペラを中心にアーティストのインタビューや演奏会の紹介記事、エッセイなどを手がけるほか、ミュージカル、ロック、少女漫画などのジャンルでも執筆活動を行なっている。著書に『オペラの館がお待ちかね』(清流出版)、共著に『ヴィジュアル系の時代 ロック・化粧・ジェンダー』(青弓社)など。

