
近年活躍の著しい若手ヴァイオリニスト、若尾圭良が「高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Shotシリーズ」に登場する。彼女は、ボストン交響楽団のオーボエ奏者である若尾圭介の娘として2006年にボストンで生まれた。ジョセフ・シルヴァースタインやドナルド・ワイラーシュタインに師事。2021年、ユーディ・メニューイン国際ヴァイオリンコンクールのジュニア部門で第1位に入賞。同年、スタルバーグ国際弦楽器コンクールでも優勝している。2024年9月には、ボストン交響楽団のシーズンオープニングガラコンサートにソリストとして招かれ、音楽監督アンドリス・ネルソンスの指揮のもと、ラヴェルの「ツィガーヌ」を演奏した。日本では、2024年にBunkamuraの「未来の巨匠コンサート」に出演している。筆者は今年1月に東京ユヴェントス・フィルの演奏会で若尾の弾くバーバーのヴァイオリン協奏曲を聴いたが、技巧の高さはいうまでもないが、彼女の(当時)18歳とは思えない堂々とした演奏に驚いた。
今回の高崎でのリサイタルでは、ブラームス「F.A.E.ソナタ」よりスケルツォ、クララ・シューマン「3つのロマンス」、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第4番」、ショーソン「詩曲」、武満徹「妖精の距離」、ラヴェル「ツィガーヌ」を披露する。ピアノの共演は広瀬悦子。若きブラームスとクララ・シューマンの関係を連想させる小品やボストン響のガラコンサートでも演奏した「ツィガーヌ」などが楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2025年12月号より)
高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Shotシリーズ vol.18
若尾圭良 ヴァイオリン・リサイタル
2026.1/15(木)19:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/

山田治生 Haruo Yamada
音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。

