“塩”が結ぶ縁 〜香川県宇多津町でクロアチア音楽を聴くチャリティーコンサート開催

 4月、瀬戸内海に面した香川県宇多津町のユープラザうたづハーモニーホールで、駐日クロアチア共和国大使館と宇多津町の共催によるチャリティーコンサートが開かれることになった。

クロアチア音楽の演奏・研究の第一人者 西井葉子

 瀬戸大橋のたもとに位置し、四国の玄関口でもある宇多津町は、近年クロアチアと国際交流を進めているという。アドリア海に面したクロアチアは、古都ニンをはじめ、古代ローマ時代から製塩業が盛んな地域。一方、宇多津町も江戸時代から約300年にわたって入浜式塩田で栄えた歴史をもつ。そんな共通点から、一昨年は、ドラジェン・フラスティッチ駐日クロアチア共和国特命全権大使夫妻が宇多津町を親善訪問し、復元塩田の視察や町内企業を訪問するなど、交流を深めてきた。

復元された塩田を視察するドラジェン・フラスティッチ大使

 こうした積み重ねを背景に、4月には大使館の協力のもと、クロアチア音楽を聴けるコンサートが実現する。出演するピアニストの西井葉子は、クロアチアで学び、日本ではなかなか聴く機会の少ない同国や旧ユーゴスラビアの作曲家と音楽の研究・普及に尽力してきた第一人者として知られる。今回演奏されるドラ・ペヤチェヴィッチ(1885-1923)のピアノソロ作品を世界で初めて全曲録音したのも西井。その作品は、抒情性豊かで美しい旋律にあふれている。もう一人、クロアチアの作曲家で紹介されるのは、1957年生まれのイヴォ・ヨシポヴィッチ。政治家でもあり、2010年から15年までクロアチアの大統領を務めた経歴をもつ異色の現代作曲家で、ジョン・レノンの生涯を描いたオペラを2010年に発表し、話題を呼んだ。今回演奏される「ガラス玉演戯」は、ヘルマン・ヘッセの同名の小説に着想を得た作品。ガラス玉の透明感や繊細な色彩、さらには宇宙的な広がりを思わせる響きを内包し、従来のクラシック音楽の語法を軽やかに越境しながら、独自の世界観を鮮やかに描き出す一作である。こうした知られざるレパートリーを聴ける機会は非常に稀で、その意味でも注目すべき公演だ。

西井葉子

 そのほか本公演では、ピアノ愛好家に広く親しまれているリスト「愛の夢 第3番」や、シューマン「謝肉祭」といった名曲に加え、山田耕筰「からたちの花」も披露される。幅広いレパートリーが並び、クラシックに馴染みの薄い人にも親しみやすい構成となっている。また、オープニングでは、地元・宇多津中学校吹奏楽部・OB吹奏楽団との合奏で、映画『魔女の宅急便』から「海の見える街」(クロアチアの街並みがモデルとされる)など、久石譲によるおなじみのメロディーも。クロアチアと宇多津町を結ぶ今回の舞台は、音楽を通じた交流の広がりを実感させる場ともなりそうだ。

文:編集部

瀬戸内海に面した宇多津町

駐日クロアチア共和国大使館・宇多津町 文化交流特別チャリティーコンサート
西井葉子ピアノリサイタル

2026.4/11(土)15:30 ユープラザうたづハーモニーホール
西井葉子ピアノリサイタル

◎合奏 宇多津町立宇多津中学校吹奏楽部・OB吹奏楽団との合奏
◎ソロ演奏
フランツ・リスト:愛の夢 第3番 S.541/3
フランツ・リスト:ため息 S.144/3
山田耕筰:からたちの花
ドラ・ペヤチェヴィッチ:花の一生、8つのピアノ小曲集 op.19より 第5曲「ばら」
ドラ・ペヤチェヴィッチ:花吹雪 op.45
イヴォ・ヨシポヴィッチ:ガラス玉演戯
ロベルト・シューマン:謝肉祭 op.9

自由席:大人2,000円 高校生以下1,000円(全席自由 /未就学児入場不可)
問:ユープラザうたづ 0877-49-8020
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