大谷康子デビュー50周年記念
東京交響楽団が贈るマルサリス×コープランド

左:ロス・ジェイミー・コリンズ ©Miika Takala
右:大谷康子 ©Masashige Ogata

 東京交響楽団が12月定期演奏会で、ヴァイオリニスト大谷康子のデビュー50周年を祝う。大谷は1995年より同楽団のコンサートマスター、のちにソロ・コンサートマスターとして長年にわたりオーケストラを支えてきた。今回の演奏会はそうした彼女の功績を記念するもので、指揮は当初、長らく東響を率いた秋山和慶が務める予定だったが急逝したため、今年2月に東響デビューを果たし近年注目を集める若手ロス・ジェイミー・コリンズが再登場する。

 この記念回に大谷が取り上げるのはウィントン・マルサリスのヴァイオリン協奏曲 ニ調。マルサリスはジャズとクラシックの双方で名を馳せるトランペット奏者・作曲家で、2015年に書かれた本作は両ジャンルをはじめ、ブルース、ケルト音楽、ラグタイムなどの要素を組み合わせた意欲作だ。様々な語法が大オーケストラをバックにした全4楽章の骨太の構成の中に次々と現れる。大谷の豊かな表現力と多彩なテクニックが、古巣のオーケストラとの緊密な対話を通して作品に新たな生命を吹き込むだろう。

 後半のアーロン・コープランドの交響曲第3番は、1944年から46年にかけて作曲された。冒頭の静謐な響きから次第に立ち上がるように広がる音のパノラマは、大地の息づかいを思わせる。軽やかに疾走するスケルツォ風の楽章、どこか不安げで抒情的な緩徐楽章を経て終楽章では作曲者自身の代表作「市民のためのファンファーレ」が引用される。金管が壮麗に鳴り響き、戦禍が過ぎ去った後の希望と再生を聴き手に印象づける。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2025年12月号より)

ロス・ジェイミー・コリンズ(指揮) 東京交響楽団 第737回 定期演奏会 
2025.12/13(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp