第19回ショパン国際ピアノコンクール1次予選結果発表! 日本勢は牛田智大ら5名が2次予選進出

 10月3日にワルシャワで第1次予選がスタートした第19回ショパン国際ピアノコンクール。史上初めてポーランド人以外の審査員長、ギャリック・オールソン(アメリカ)が就任した大会には、84名のピアニストが出場した。5日間にわたる審査が終わり、現地時間の7日深夜に第2次予選に進む40名がショパン研究所(NIFC)のシュクレネル所長から発表された。13名が出場した日本勢は、桑原志織・中川優芽花・進藤実優・牛田智大・山縣美季の5名が通過を決めた。

◎2次予選進出者 アルファベット順
1. Piotr Alexewicz ピオトル・アレクセヴィチ(ポーランド)
2. Jonas Aumiller ヨナス・アウミラー(ドイツ)
3. Yanyan Bao バオ・ヤンヤン(中国)
4. Kai-Min Chang チャン・カイミン(台湾)
5. Kevin Chen ケヴィン・チェン(カナダ)
6. Xuehong Chen チェン・シュエホン(中国)
7. Zixi Chen チェン・ズーシー(中国)
8. Yubo Deng デン・ユーボ(中国)
9. Yang (Jack) Gao ガオ・ヤン(ジャック)(中国)
10. Eric Guo エリック・グオ(カナダ)
11. Xiaoyu Hu フー・シャオユー(中国)
12. Zihan Jin ジン・ズーハン(中国)
13. Adam Kałduński アダム・カウドゥンスキ(ポーランド)
14. David Khrikuli ダヴィド・フリクリ(ジョージア)
15. Shiori Kuwahara 桑原志織(日本)
16. Hyo Lee イ・ヒョ(韓国)
17. Hyuk Lee イ・ヒョク(韓国)
18. Kwanwook Lee イ・クァンウク(韓国)
19. Tianyou Li リ・ティエンヨウ(中国)
20. Xiaoxuan Li リ・ シャオシュエン(中国)
21. Zhexiang Li リ・ジェーシャン(中国)
22. Eric Lu エリック・ルー(アメリカ)
23. Philipp Lynov フィリップ・リノフ(中立個人参加)
24. Tianyao Lyu リュー・ティエンヤオ(中国)
25. Ruben Micieli ルーベン・ミチェーリ(イタリア)
26. Nathalia Milstein ナタリア・ミルステイン(フランス)
27. Yumeka Nakagawa 中川優芽花(日本)
28. Vincent Ong ヴィンセント・オン(マレーシア)
29. Piotr Pawlak ピオトル・パヴラック(ポーランド)
30. Yehuda Prokopowicz イェフダ・プロコポヴィチ(ポーランド)
31. Hao Rao ラオ・ハオ(中国)
32. Anthony Ratinov アンソニー・ラティノフ(アメリカ)
33. Miyu Shindo 進藤実優(日本)
34. Gabriele Strata ガブリエーレ・ストラータ(イタリア)
35. Tomoharu Ushida 牛田智大(日本)
36. Zitong Wang ワン・ズートン(中国)
37. Yifan Wu ウー・イーファン(中国)
38. Miki Yamagata 山縣美季(日本)
39. William Yang ウィリアム・ヤン(アメリカ)
40. Jacky Xiaoyu Zhang ジャッキー・シャオユー・チャン(イギリス)

※カタカナ表記は編集部作成。それぞれの言語の標準的なルールに則っていますが、実際の発音は異なる場合があります。

 今回は1次予選にワルツが導入され、ノクターンやエチュード、そして[バラード+舟歌+幻想曲]からの1曲という規定により、ショパンの音楽のさまざまな特性がバランスよく求められる課題であったと言えるだろう。

Tomoharu Ushida
牛田智大 ©Krzysztof Szlezak/NIFC
桑原志織 ©Wojciech Grzedzinski/NIFC

 アジアからの出場者が50名を超え、ますます国際コンクールのなかで大きな位置を占めるようになったことは近年の顕著な傾向。実に28名と人数で他国を圧倒した中国勢は、技巧においても音楽性の面でも、おしなべてハイレベル。配信で見る限りでは、ピアニッシモから爆発的なフォルテまで、ダイナミックレンジが大きく、エチュードでのテクニック、ワルツでの浮遊感あるリズム等に優れたピアニストが多かった印象だ。日本勢では、文字通り渾身の演奏で地元メディアからも絶賛されていた牛田智大、持ち前のダイナミックな演奏を披露し、会場の聴衆からも熱狂的な支持を得た桑原志織、2度目の出場で、落ち着いた佇まいの中にさらに深みを見せた進藤実優など、それぞれの個性が存分に発揮されたラウンドだった。2次進出はならなかったが、今大会の最年少出場者であった15歳の中島結里愛の健闘も忘れがたい。

山縣美季 ©Wojciech Grzedzinski/NIFC
進藤実優 ©Wojciech Grzedzinski/NIFC
中川優芽花 ©Krzysztof Szlezak/NIFC

 過去の主要コンクールでの入賞実績により予備予選を免除されたコンテスタントたちは、また別のプレッシャーを抱えながらの出場となったが、やはり実力者揃い。2015年の第17回大会で第4位入賞を果たしながら10年の時を経てカムバックしたエリック・ルー(アメリカ)、異次元とも言える豊かな音楽性と研ぎ澄まされたタッチで聴衆を圧倒したケヴィン・チェン(カナダ)、弟ヒョとともに1次予選を通過したイ・ヒョク(韓国)など、上位入賞が期待されるピアニストたちの次のステージにも期待したい。

ケヴィン・チェン ©Krzysztof Szlezak/NIFC
Eric Lu
エリック・ルー ©Krzysztof Szlezak/NIFC

 2次予選は、1日の休養日をはさんで10月9日から12日までの4日間。アルファベットZからのスタートとなる。一人あたりの演奏時間は40~50分と長くなり、24の前奏曲、ポロネーズなど新たなレパートリーで行われる。自由曲も選択できるため、よりバラエティに富んだステージとなりそうだ。

(記事公開時に「アルファベットAから」と記載しましたが、誤りであることが確認されました。お詫びして訂正します)

文:編集部

第19回ショパン国際ピアノコンクール
2025.10/2(木)〜10/23(木) 会場:ワルシャワ・フィルハーモニー

◎第2次予選 10/9(木)〜10/12(日)
 モーニング・セッション 10:00(日本時間17:00) イヴニング・セッション17:00(日本時間 24:00)
◎第3次予選 10/14(火)〜10/16(木)
 モーニング・セッション 10:00(日本時間17:00) イヴニング・セッション17:00(日本時間 24:00)
◎本選 10/18(土)〜10/20(月)18:00(日本時間 翌日1:00)
◎入賞者披露演奏会 10/21(火)〜10/23(木)各日19:00(日本時間翌日2:00)
https://chopincompetition.pl


【Information】
第19回ショパン国際ピアノ・コンクール2025 優勝者リサイタル
2025.12/15(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
2025.12/16(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール

第19回ショパン国際ピアノ・コンクール 2025 入賞者ガラ・コンサート
2026.1/27(火)、1/28(水)18:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2026.1/31(土)13:30 愛知県芸術劇場 コンサートホール

出演
第19回ショパン国際ピアノ・コンクール入賞者(複数名)、アンドレイ・ボレイコ(指揮)、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

他公演
2026.1/22(木) 熊本県立劇場 コンサートホール(096-363-2233)
2026.1/23(金) 福岡シンフォニーホール(092-725-9112)
2026.1/24(土)大阪/ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)
2026.1/25(日) 京都コンサートホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)
2026.1/29(木) ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川芸術協会045-453-5080)