オーケストラ・アンサンブル金沢が2026-27シーズンプログラムを発表!

中央:広上淳一

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が9月25日、石川県立音楽堂内で記者会見を行い、2026-27シーズン(26年4月〜27年3月)の定期公演プログラムを発表した。テーマは「継承」。創設者であり永久名誉音楽監督の岩城宏之(1942~2006)没後20年、さらには本拠地である石川県立音楽堂の開館25周年を迎える節目の年にふさわしく、これまでの流れを汲みつつも、次世代のアーティストを多数迎える意欲的なプログラムが組まれた。

 新シーズンは全16公演で構成。クラシックの王道から現代音楽、ジャンルを超えた企画まで幅広く展開される。
 最大の目玉は、2026年5月23日に行われる第500回定期。アーティスティック・リーダー 広上淳一の指揮で、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付」と池辺晋一郎の「豊穣の道」(2023年、OEKが初演)を組み合わせる。広上は他にも、交響曲第5番「運命」(9/18)、同第8番(27.3/11)を振る。ベートーヴェンは、岩城や前芸術監督のマルク・ミンコフスキと交響曲チクルスを行うなど、OEKにとって重要なレパートリーのひとつ。広上自身も就任以来継続的に取り上げており、その歩みをさらに深めていく。

 広上のほかには、五嶋みどりと共演する川瀬賢太郎(26.11/27)、シーズン開幕公演を振る松井慶太(4/11)というポストを持つ二人の指揮者に加え、客演では、マカオ出身で関西フィルのアーティスティック・パートナーを務めるリオ・クオクマン(7/2)、ドイツ出身で現在はケベック交響楽団音楽監督の任にあるクレメンス・シュルト(10/28)など、中堅世代の実力者が名を連ねる。ハチャトゥリアン国際コンクール優勝以降、日本各地のオーケストラから引く手あまたの出口大地の登場にも期待したい(27.1/23)。さらには、ウィーン・フィルの若きコンサートマスター ヤメン・サーディ(1/9)や、長くオランダ・バッハ協会の音楽監督兼コンサートマスターを務めた佐藤俊介(26.10/3)といったヴァイオリニストをフィーチャーしたプログラムも話題を呼びそうだ。

 “ジャンルを超えたプログラム”がテーマの「ファンタスティック」シリーズでは、トランペットの世界的名手セルゲイ・ナカリャコフと、ジャズ界期待の新鋭 松井秀太郎、西村大地が共演する「トランペットの祭典」(7/25)、YouTuberとしても活躍するピアニスト石井琢磨と川瀬が共演する「トークで楽しむクラシック」(12/12)、ミュージカル女優・新妻聖子が出演する「ザッツ・ミュージカル」(27.2/7)など、クラシック・ファン以外にも開かれた舞台が用意されている。

 OEKは、楽団そのものを金沢の風土で育まれた“音の幸”ととらえ、岩城や先人たちと築いた想いを継承し、金沢の“山の幸”“海の幸”と並ぶ文化資産として、世界から聴衆を招き入れることを目指していくという。伝統と未来をつなぐシーズンに期待したい。

文:編集部
写真提供:オーケストラ・アンサンブル金沢

オーケストラ・アンサンブル金沢
https://www.oek.jp