
下段左より:イレー・スー ©Marco Borggreve/北村朋幹 ©TAKA MAYUMI/上野由恵 ©Akira Muto
福井県越前市で夏の終わりに開催される武生国際音楽祭。1990年に開催された「フィンランド音楽祭」を引き継いでスタートし、現在は、作曲家・細川俊夫音楽監督のもとで、創造性豊かな国際音楽祭として国内外にその活動を発信する。
今年のテーマは「新旧ウィーン楽派の室内楽」。生誕140年、没後90年のベルクをはじめ、シェーンベルク、ウェーベルンの作品が多く取り上げられる。
まずは、コンサートプロデューサーのピアニスト、伊藤恵が出演する2つのコンサートから。「ピアノと弦楽の調べ」ではモーツァルトの室内楽とともに、ウェーベルンの弦楽四重奏曲 op.28を山根一仁率いるエール弦楽四重奏団の演奏で(9/2)。「室内楽の競演」では、世界が注目するクァルテット・インテグラがベルクの「抒情組曲」を取り上げる(9/6)。また、韓国出身のソプラノ、イレー・スーは、リサイタルでシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」を北村朋幹(ピアノ)、上野由恵(フルート)、上田希(クラリネット)、白井圭(ヴァイオリン)ら、気鋭の名手たちと共演する(9/3)。
大注目は20世紀の偉大な作曲家を特集する「ベリオ&ブーレーズ生誕百周年記念コンサート」(9/4)。ベリオが演奏の極限に挑んだ代表作「セクエンツァ」抜粋では、サクソフォンの大石将紀らトップクラスの奏者が超絶のソロを。ブーレーズのフルート(上野)とピアノ(北村)の「ソナチネ」は超難度のアンサンブルを聴かせる。
同時代の最先端の音楽の一方で、ファイナルコンサート(9/7)には市民合唱団も参加する。歴史を重ね育む「まち・ひと・みらい」をつくる音楽祭としてますます存在感を増している。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2025年8月号より)
武生国際音楽祭2025
2025.8/31(日)~9/7(日) 越前市文化センター 他
問:武生国際音楽祭推進会議 事務局0778-23-5057
http://takefu-imf.com
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

