カリスマ ユロフスキが導くバイエルン国立管の新時代

©Geoffroy Schied

 カルロス・クライバーとの伝説の1986年来日公演の感激をいまだに忘れられないベテラン・ファンも多い。9月、バイエルン国立管弦楽団が音楽総監督ウラディーミル・ユロフスキとともに来日する。母体のバイエルン国立歌劇場(ミュンヘン・オペラ)の2017年引越し公演以来8年ぶり。500年の伝統と、オペラ専門誌の「オーケストラ・オブ・ザ・イヤー」に近々まで連続選出された実力を併せ持つ楽団。演奏面での充実は、前任監督のペトレンコ時代に鍛え上げられた成果でもあり、そのサウンドがユロフスキに引き継がれ、さらなる進化を遂げている。

 1972年生まれのユロフスキは、この5月にも、首席指揮者兼芸術監督を務めるベルリン放送交響楽団と来日したばかり。オーケストラとオペラの両輪でその力量を示し続ける、次世代の大巨匠候補の筆頭だ。ロシア人だがウクライナ系ということもあり、ウクライナへの同調を明確にしている態度にも共感をおぼえる。

 演目はドイツ・オーストリア・プログラム。劇場をホームグラウンドにするオーケストラなので、やはり《ばらの騎士》組曲と《タンホイザー》序曲というオペラ由来の作品ではひときわ強みを発揮するはず。ショパン・コンクールの前回覇者ブルース・リウがモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を弾く(当初発表から曲目変更)。リサイタルでもオーケストラとの共演でも、ショパン以外の彼を聴ける機会がどんどん増えてきた。

文:宮本 明

(ぶらあぼ2025年7月号より)

ウラディーミル・ユロフスキ(指揮) バイエルン国立管弦楽団
2025.9/26(金)19:00 サントリーホール
9/27(土)13:30 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
https://www.japanarts.co.jp
※公演によりプログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。