【CD】サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番・交響曲 第3番「オルガン付き」/広上淳一&N響

 

サン=サーンス生誕190年を記念してのリマスター再発売。2007年のライブ録音だが、パッケージ、解説、演奏家プロフィールなど初発売当時のものにほぼ手を加えず当時の空気感を再現。2大名曲を収録した盤は意外に珍しく、演奏会収録の録音ならでは。当時のNHK交響楽団の重心の低い響きを広上が力強く鳴らし、入念に弾き込む藤森の独奏共々ドイツ的な重量感のあるサン=サーンスだ。交響曲のオルガンはギラン・ルロワで、プロフィール記載がないが当時の札幌コンサートホール Kitara専属奏者。広上はオルガンを適度に抑制し、管弦楽を細部まで彫琢する。「交響曲」としての手ごたえが伝わる。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2025年7月号より)

【information】
CD『サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番・交響曲 第3番「オルガン付き」/広上淳一&N響』

サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番、交響曲第3番「オルガン付き」

広上淳一(指揮)
NHK交響楽団
藤森亮一(チェロ)
ギラン・ルロワ(オルガン)

収録:2007年6月、東京オペラシティ コンサートホール(ライブ)
マイスター・ミュージック
MM-4542 ¥3520(税込)


矢澤孝樹 Takaki Yazawa

1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。