ギターで開くバッハへの扉
日本を代表するギタリストの1人であり、バッハの作品演奏をライフワークに据えている福田進一。この孤高の名手が、バッハの器楽作品の中でも“傑作中の傑作”のひとつに位置付けられている「無伴奏チェロ組曲」全6曲を、自らの編曲により、やはり自身による解説を交えながら、一気に弾き切るという野心的なステージに挑む。バッハの時代にはまだ存在していなかった、現在のようなギター。しかし、チェロ組曲第5番(BWV1011)の、バッハ自身の手になるリュート版の楽譜(BWV995)が残っているという事実が、「私たち撥弦楽器奏者が、この作品を手掛けることに大きな正当性と、勇気を与えてくれている」と福田は言う。そして、自ら手掛けた無伴奏チェロ組曲の編曲について「バロックの通奏低音に極力適応し、呼吸するような弓の動きを心がけたつもり」と説明。「バッハがもし、ギターのために組曲を書いたら…。そんなつかの間のファンタジーの世界に、遊んでいただけたら幸いです」と語っている。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/11(土)14:00 小金井 宮地楽器ホール(小金井市民交流センター)
問:小金井 宮地楽器ホールチケットデスク042-380-8099
http://koganei-civic-center.jp