
右:大西宇宙 ©Marco Borggreve
ソプラノ小林沙羅とバリトン大西宇宙は「立ち姿で眼を惹き、歌えばその場の耳を全掌握」するアーティスト。小林の声音は素晴らしく良く伸び、大西の声も辺りをびりびり震わせる剛毅な響き。この二人なら客席もだれず、歌の饗宴を心ゆくまで楽しめる。
しかし、彼らの「真の才能」は、実は、あまり知られていないかも。それは「保つ力」である。声の勢いを保ち、体力も保ち続ける…人気歌手であればあるほど、自分を保つのは難しい。でも不断の努力がそれを可能にした。二人はいわば、「地に足のついたスター」なのである。
そんな彼らが、この6月、ヨコスカ・ベイサイド・ポケットでデュオ・リサイタルを開催。練達のピアニスト河原忠之とともに、シューマンやシューベルトのリート、ラフマニノフのロシア語歌曲、日本の武満徹のソングに加えて、ヴェルディのオペラ《椿姫》の名場面も披露するという。ヴィヴィッドな表現力を肌で味わうこの好機! 逃すことなかれ。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2025年6月号より)
横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ74
小林沙羅(ソプラノ) & 大西宇宙(バリトン) デュオ・リサイタル
2025.6/8(日)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
https://www.yokosuka-arts.or.jp