新国立劇場の新制作、ヴェルディ《ナブッコ》が開幕した。
イギリスのグラハム・ヴィックによる新演出は、現代的な空港を舞台とした設定で、物質主義に走る人びとと「神=自然の力」の話として描くことで、斬新ながら明快でわかりやすい演出を実現した。ヴィックは「東京の新国立劇場だからこそ生まれる演出で、他のオペラハウスなら同じ演出にはならない」と語っている。
歌手陣はタイトルロールのルチオ・ガッロ、アビガイッレのマリアンネ・コルネッティ、ザッカーリアのコンスタンティン・ゴルニーを中心に、ハイレベルな人選となっている。指揮者のパオロ・カリニャーニは生命力にあふれた演奏で、若きヴェルディ作品のエネルギーを余すところなく表現してドラマを盛り上げる。刺激に満ちた新プロダクションだ。
撮影:三枝近志 写真提供:新国立劇場