古楽界の重鎮クリストフ・コワンによる深奥なるブラームスのチェロ・ソナタ

左:クリストフ・コワン
右:金子陽子

 クリストフ・コワン! 年季の入った古楽ファンなら反応せずにはいられない、伝説のチェロとヴィオラ・ダ・ガンバの名手だ。アンドレ・ナヴァラに学んだ後、ニコラウス・アーノンクール、ジョルディ・サヴァール、クリストファー・ホグウッドと、全く個性の異なる巨匠たちに師事、または共演。かつての古楽の世界の派閥の壁を越え、幅広く活躍してきた。自らもリモージュ・バロック・アンサンブルを率い、かつモザイク四重奏団を結成、鮮烈なピリオド楽器弦楽四重奏を聴かせてくれた。

 半世紀に及ぶキャリアのコワンが、チェリストとして来日し、ドイツ・ロマン派の作品を聴かせてくれる。メンデルスゾーンとブラームスはもちろん、ショパンとほぼ同時期にポーランドに生まれ、やはり早世したチェロ奏者にして作曲家・グロスの「セレナード」も楽しみだ。さらに共演は、パリでモダン・ピアノとフォルテピアノ双方で活躍する金子陽子。こんな機会はまたとない!
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2025年4月号より)

第557回日経ミューズサロン クリストフ・コワン チェロ・リサイタル
2025.4/18(金)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227 
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